こらえても、あふれ出る思い。
有名な俳優さんが言っていたのですが
「泣かせよう、として今にも泣き出さんばかりに感情を振り絞ってもお客さんには伝わらない。むしろ感情をおさえて耐え忍ぶ演技のほうが悲しみは伝わるんです」
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「感情を出す」ことは正しいです。
ただ人間は、大人になるにつれて感情をおさえるようになってきます。成長するにつれガマンすることを覚えるんですね。
ですから、感情を出す演技だけでは、どうしても子供っぽい演技になってしまいます。精神年齢が幼く見えてしまうんですね。
まず最初は「感情を出す」演技を覚える。それが分かったら次は、「人間は感情を出すばかりじゃなく、おさえることだってあるんだよ」ということを知ることが大切です。
それが演技の勉強の順番です。人間の成長の順番と同じですね。
作品の内容など、つまり日常で言う「時と場合」によって、感情を出したほうが良い場合と、おさえたほうが良い場合があります。
楽しい作品では、楽しい気持ちを前面に出してオーバーな演技で行こうとか、社会派の作品では演技をおさえめにしてみようとか、演技の勉強とは、つまりそういうものなんです。
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「ナチュラルな演技というものがあることは分かりました。でも、具体的にどうすればいいの?ただ気持ちをおさえて無表情に演じればいいの?」
だからこそ、いい作品を見て審美眼を磨くことが大切なんです。
言葉で説明するよりも、見たほうが早いんです。
一流の料理人を目指すなら、言葉で説明されるより実際に美味い料理を食べたほうが分かるんです。それと同じなんです。
一流に学ぶことは大切ですね。
いいものをたくさん見て、自分の成長に繋げていきましょう。
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