言葉のウラを読むのが近代劇。
アドラーのメソッド演技を読んで、印象に残ったエピソードを紹介させていただきます。
シェイクスピアと近代劇の違いは?
役づくりをする時は、まず外見の特徴から考え始めてもかまいません。ただし、外に見えている特徴が、どう精神に影響を与えるかを必ず知るようにして下さい。ここ百年間の間に書かれた戯曲には、そういう姿勢が必要です。
シェイクスピアを演じるなら、すべてがセリフの中に表現されています。
優れた俳優はセリフに隠された意味を読み取りますが、シェイクスピアでは言葉そのものを読めばすべてがわかります。
『ロミオとジュリエット』の第一幕。通りで争いが起こります。
ジュリエットの年老いた父はこう言います。「あの音は何だ?長い剣をとってくれ!」彼の妻はこう言います。「あなたには杖ですよ、杖!なぜ剣がほしいとおっしゃるのです?」。二人のセリフを読めば、どう動いているのか自然にわかります。
イプセン以降の作品群には、これが当てはまりません。
だからスタニスラフスキイ氏は、新しい演技テクニックを作る必要に迫られたのです。
チェーホフの作品をごらんなさい。セリフだけを読んでも理解できない。イプセンもそう。ストリンベリ、テネシー・ウィリアムズ・・・オデッツも。脚本の字面を追うだけでは、演じられない。人物の作り方が、以前とはまったく違うのです。
脚本にプリントされた言葉を見たって演技はできませんよ。演技はあなたの内側から生まれるのです。言葉に対するあなたの解釈が必要。クリアーで、シャープな解釈が必要。
まず言葉を読むとしても、その裏側まで考えていかないと。
いろいろな角度から考えなさい。言葉の中に、周囲に、秘密が隠されているんです。その秘密を解いて、演技に反映させなさい。
テキストが伝えようとしているアイデアを、まず理解する。マスターして自分のアイデアにする。
それが出来たらもう一度、書かれた言葉を読んでください。新鮮な感じがするでしょう。句読点や「!」のマークにとらわれず、テキストの全体が見渡せると思います。もし、句読点の位置にばかりこだわるなら、俳優には向きません。図書館に就職なさい。
参考文献
魂の演技レッスン22 輝く俳優になりなさい! フィルムアート社
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