ワークショップ 声優演技研究所 diary

「なんで演技のレッスンをしてるんですか?」 見学者からの質問です。 かわいい声を練習するのが声優のワークショップと思っていたのかな。実技も知識もどっちも大切!いろんなことを知って演技に役立てましょう。話のネタ・雑学にも。💛

誕生日に思うこと。

マイズナーのメソッド演技です。

西部戦線異状なし を、彷彿(ほうふつ)とさせるレッスンを紹介します。

愛国心を説く老教師の言葉に感化された生徒たちが軍に入隊し、ひとり、またひとりと戦死していく物語ですね。

映画化もされています。反戦映画の名作として有名ですね。

「サンフォード・マイズナー・オン・アクティング」より抜粋させていただきます。

<ここから>

「ジョゼフ・モーガン、君は何を選んだ。」
「『ハリー・ウィルマンス』です。」
「読んでくれ。」

ぼくは二十一歳になったばかりだった。
日曜学校の校長のヘンリー・フィップスが
ビンドルオペラハウスで演説をした。
「名誉ある国旗を掲げよう」彼はいった。
「たとえ野蛮なタガログ語族や、
ヨーロッパの強国に攻められようとも。」
ぼくらは歓声を上げ、歓声を上げ、
彼は旗をふった、
演説の合間、合間に。
ぼくは父の反対を押し切って戦場に行った。
そして、旗について進み、旗が掲げられるのを見た。
マニラに近い田んぼの中のキャンプのそばで、
ぼくらはみんな歓声を上げ、歓声を上げた。
しかし、あたりは蝿や、毒物の山
ひどい水
残酷な暑さ
吐き気がするような腐った食物
テントのすぐ側の塹壕の臭い
兵士たちはそこで用を足す。
売春婦たちが追いかけてくる、梅毒をいっぱい運んで、
獣のような行いが広がる、互いに、あるいは独りきりで、
互いに罵り、憎み、蔑み合う。
むかつく日々、恐怖の夜々の後
湯気のたちのぼる沼を渡って突撃の時
ぼくは旗について進む
ぼくは腸わたを撃ち抜かれ、叫びとともに倒れる。
そして今、スプーンリバーで、ぼくの身体は旗にまかれる!
旗に!旗に!


「最後の二行について、どう思う?」マイズナーがたずねた。
「自分の命を奪った誰かを殺してやりたい気持ちです。」
「君は怒り狂っているのか。」
「ぼくはやつらのために戦争に行き、やつらはぼくを殺した。」
「彼らは君を騙(だま)したんだな。」
「そうです。」
「そのことについて、どう思う?」
「誰かを殺してやりたい。ヘンリー・フィップス(日曜学校の校長)を殺してやりたい。ぼくは叫びそうだ」ジョゼフは、足をこぶしで叩いた。
「それを次回。自分の言葉でやれ――叫べ!もの笑いにされたんだ、君はまぬけだ!どんな気持ちだ?」
「ぶんなぐってやりたい。」
「そういうふうに始めるんだ。君たちはこの論理が分かるか」マイズナーがクラスにたずねた。生徒たちは頷いた。
「なぜ君の墓には旗が立っているんだ?ほかの墓には立っていないのに。」
「それは、生命を国に捧げたからといって人が作った、空しいシンボルです。」
「何があったんだ。」
「ぼくは撃たれたんです。」
「最初は何だ?――自分の言葉で語るんだ。」
「はい、もったいぶったバカなやつが立ち上がって、国を守らなければいけないと演説しました。ぼくは若かったので、彼のいったことを信じてしまいました。そして、町を去り、軍隊に入りました――」
「もっと君には自己嫌悪があるように思うのだが。『自分がしたことを憎んでいる。彼らが俺にやらせたことを憎んでいる。帰ってきたとき、やつらが俺にしたことを憎んでいる!』これは何か、君にとって意味があるか。」
「はい」
「それが素直に出てくれば、ジョゼフ・モーガンの感情になる。自分を完全に亡くしたジョゼフ・モーガンだ。それが出てくるときは、いつも君自身だ。私は今、何をいった?」
「感情はぼくから出てくることです。」
「これがそれなんだ、ジョー。これがそれなんだ。」

<ここまで>


平和な世の中、みんなが仲良く暮らせる世界を願っています。

参考文献
「サンフォード・マイズナー・オン・アクティング ネイバーフッド・プレイハウス演劇学校の1年間」 而立書房


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そして今日は誕生日でした。これからも、よろしくお願い致します。