科学的研究を批判的に。その3
認知や行動に性差はあるのか
この本は演劇の専門書ではありませんが、日常を観察して、演技に役立てるヒントになりそうな言葉がけっこうありましたので紹介させていただきます。
なんでもかんでも貪欲に知識を吸収して演技のヒントにしてしまいましょう。
警告をしておこう。
学生の中には、科学者や教師が常に正しいと信じきっている人もいる。
そうした学生にとっては、専門家とみなされている人たちが、意図的ではなかったにしても、重大な間違いをよくおかしているということを見せられると、腹立たしくなることもあるだろう。
自分が読んだり教わったりしたことに疑問をもちはじめると、確かなものが足元から崩れるような感じがするだろう。
失うものの代わりに、新しい絶対的な真実をあなたに与えることは、私たちにはできない。
しかし、大切なのは、絶対的真実と思っていたものが、不完全なものであり、あるいは存在さえしていないということを知ることである。実際よりもたくさんのことを知っていると思うよりも、自分の知識の限界を知っているほうがよいだろう。
また、批判的に考えるスキルを身につけると、何も残らなくなるというわけではない。
そうではなく、批判的思考スキルによって、研究を積極的に把握するための貴重な能力をたくさん得るのである。
【スキル】能力、技能のこと
そして、積極的な気持ちで研究にアプローチすると、どの研究が合理的に行われているのか、どの研究者が自分たちのバイアスを見極めて、それを正直に認めようとしているのかがわかる位置につけるだろう。
【バイアス】思い込み、先入観、偏見のこと
実験上の過誤を見いだしても、驚いてはいけない。結局のところ、この世界にあるものすべてについて、絶対的な確実性をもって知ることはできないのだ。
当然、誤りは最小にすべきであるが、できるのはその程度なのだ。
研究者にとって重要なのは、可能な限り正確であることだが、実験者のバイアスが混じって、研究方法や結果が本当に意味している以上の結論を出さないように気をつけることである。
読者のみなさんが、誤りが生じる原因を知って落胆し、研究すべてを永遠に無視したくなる、ということが起こらないよう願っている。
誤りを生むありふれた原因について知ることで、みなさんがその過誤を考慮に入れて、研究について判断できるようになってほしいのだ。
言い換えれば、完璧でないから価値のない研究だと判断する必要は、必ずしもないということだ。
研究には限界があることを知っていれば、どのように研究を解釈するか、そのデータがどのくらい信用できるか、どのくらい重要な研究なのかなどを判断する際に、役に立つはずだ。
バイアスのかかった実験だからというよりも、研究者も一般の人も、実験を評価する際に誤りやバイアスを考慮しないということが問題なのである。
研究の解釈は、実験の一つひとつの側面を――その限界も含めて――考慮すべきだろう。
参考文献
認知や行動に性差はあるのか
科学的研究を批判的に読み解く 北大路書房
「どんな方法で世界を知ろうと、明と暗の両面があるという事実は変わらない」ゲーテの名言です。
「私の意図は、私が正しかったことを証明することではなく、私が正しかったか間違っていたかを調べることにある」戯曲 ガリレイの生涯の名言も忘れないでね。
大切なことは、思考を柔軟にして、いろんなことに興味をもって自分を磨いていくこと。頭をやわらかく応援してます。
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