夕凪の街 桜の国
原爆投下を正当化する議論で「戦争終結を早め、数え切れぬアメリカ兵の命を救った」というものがあります。
また「真珠湾を攻撃し戦争を始めたのは日本だ」ともいわれます。
ただ間違えてはならないのは「夕凪の街 桜の国」の登場人物たちは巻き込まれただけなんです。
戦争を始めたのは、この人たちじゃないんです。
たまたま日本の広島という町に生まれ育っただけの人たちなんです。
まったく関係のない人たちが巻き込まれて、つらく重い荷物を背負わされてしまうのが戦争なのかなと感じました。
【あらすじ】
夕凪の街の主人公、平野皆実さんは物語の冒頭でノースリーブのワンピースを着ることをこばみます。
理由はやけどを負っているからです。
銭湯の場面で腕にやけどがあるのがうかがえます。やけどの原因は原爆です。
そのせいでしょうか、平野さんは恋愛にも積極的になれません。
そんな平野さんに初めて恋愛の対象となる男性が現れます。
が
と、いうお話です。
明日は、8月6日ですね…。
「夕凪の街 桜の国」とってもいい作品です。おススメします。
わたしの勝手な想像なんですが、「桜の国」の主人公、石川七波さんは「夕凪の街」の平野皆実さんの生まれ変わった姿だったらいいな、なんて思っています。
「ガリレイの生涯」の覚え書き
原爆投下の日を合衆国で体験したすべての人にとって、この日は忘れがたい日になるだろう。
対日戦争は、合衆国に事実大変な犠牲を払わせたものであった。部隊の輸送の出発点となった西海岸に、負傷兵やアジアの風土病の犠牲になった者が送り返されてきた。
原爆の最初の新聞報道がロサンゼルスに届いたとき、人びとはこれが恐ろしい戦争の終結と息子たちの帰還を意味するのだということを直(ただ)ちに悟った。
しかしこの大都市は、驚くほどの哀悼の意を表したのだ。
この台本の作者(ブレヒト)は、バスの運転手や青果市場の女売り子たちが、恐ろしいことだとしか話していないのを耳にした。
それは勝利ではあったが、敗北のもつような恥辱をともなっていた。
そのあと、軍部と政治家によって、この巨大なエネルギー源のことは極秘にされるようになり、そのことが知識人たちを怒らせた。
偉大な物理学者たちは、好戦的な政府に仕える職場を放棄した。
最も有名な学者のひとりは、自分の研究の時間を、一番初歩の基礎コースを教えることに費やさなければならないような教職にありついたが、それは、こういう官庁のもとで研究することを避けるというだけの理由でそうしたのだった。何かを発見することは非難に値することになった。
ガリレイの犯罪は近代科学の「原罪」と見做(みな)すことができるであろう。ガリレイは天文学を、厳しい限界のある特殊科学にしてしまった。
原子爆弾は、技術的な現象としても社会現象としても、ガリレイの科学的な業績と、社会的な機能停止の生みだした古典的な最終生産物である。
(1947年)
参考文献
Voice actor laboratory 声優演技研究所