実際にあった?ウソのようなホントの兵器!
コウモリ爆弾【アメリカ】
コウモリって・・・夕方とかにパタパタ空を飛んでる蝙蝠(こうもり)?
アメリカ大統領ローズヴェルトは、太平洋戦争の緒戦時に、コウモリ爆弾が日本人を恐れさせることを信じ、東京中に何万発かのコウモリ爆弾を投下する計画に関与しました。
コウモリ爆弾とは、爆弾のような形をした千以上の区切りがされた箱のことです。箱のなかには時限式焼夷弾を付けられたコウモリが収納されています。
コウモリは比較的高い場所から放出されることから遠くまで展開し、明け方には街中の建物に隠れることになります。そして、組み込まれたタイマーが爆弾を発火させ、広範囲に火災や混乱を引き起こす、という計画でした。
しかし発射時点で移送中のコウモリは、死んでしまいました。
かわいそうに・・・。
風船爆弾【日本】
風船爆弾とは、太平洋戦争の末期、日本軍が開発した気球に爆弾を搭載した兵器です。(当時の呼称は気球爆弾)。
日本上空1万メートルには時速200~300キロの偏西風が吹きぬけています。その偏西風にのせて、気球にぶら下げた爆弾をアメリカ本土まで運び、落下させるという作戦でした。
で・・・どうだったの。
オレゴン州で風船爆弾に触れた民間人6人が爆死した例が確認されています。
犠牲になった人がいるんだ・・・。戦争反対。*1
空気から火薬を【ドイツ】
これがいちばん胡散(うさん)臭いけど・・・
でもこれは成功したんです。マジ?
「空気から火薬を作る方法」は、フリッツ・ハーバーとカール・ボッシュが1906年にドイツで開発しました。ハーバー・ボッシュ法と呼ばれています。
ハーバー・ボッシュ法とは、空気中の窒素からアンモニアを合成する製法です。
フリッツ・ハーバーは、第一次世界大戦で海上封鎖されたドイツに、無制限かつ安価な化学肥料と爆薬を提供する可能性をもつ窒素凝固という化学製法を発見しました。
いい面
この方法により、安価な化学肥料が誕生したので、食料の大量生産が実現できました。この発見がなかったら、世界の最大人口を当時36億人であったものを、西暦2000年に約60億人にさせることはできなかったといわれています。
悪い面
しかし同時に爆薬の原料となる硝酸の大量生産も可能に なったため、ドイツは、第一次世界大戦で使用した火薬の原料の窒素化合物の全てを国内で調達できたのです。第一次世界大戦の犠牲者は戦闘員と民間人あわせて約3700万人が記録されています。
フリッツ・ハーバーは、自然法則を発見し、応用を考えだし、それらの応用によって生じる善と悪を他者の良心に委ねた科学者なんですね…。
以上、ホントにあった兵器でした。
参考文献
ヒトラーの科学者たち 作品社
「ヒトラーの科学者たち」毒ガス製造(アウシュヴィッツ), V2ロケット(ミサイル), エニグマ暗号機, ナチスの原爆計画など盛りだくさんの内容だよ。
Voice actor laboratory 声優演技研究所
*1:
失敗の本質 日本軍の組織論的研究 中公文庫より
「風船爆弾」
陸軍に「ふ」兵器と名づけられた秘密兵器があった。
昭和10年頃から科学研究所で研究開発が着手され、いったんは立ち消えになったかと思われたが、戦局が悪化するなかで再び開発が進められた。
18年の11月に実験第一号が完成し、翌年二、三月にテストが実施された。
テストの結果は不明であったが、19年11月~20年4月までの間に、約9300個が実際に使用された。この秘密兵器の目的は大本営によって次のように命じられている。
米国内部攪乱の目的を以て、米国本土に対し特殊攻撃を実施せんとす(大陸指二二五三号)
これが世にいう「風船爆弾」であった。
風船(水素ガス注入、直径10メートル)の主なる材料が和紙をコンニャク糊で貼り合わせたものであるためコンニャク爆弾などと呼ばれることもある。
風船爆弾作戦のために参謀総長直属の気球連隊が新設され、太平洋に面した三ヵ所の放球陣地が設営された。
気球一個につき20キログラムの焼夷弾が装備され、米国まで高度一万メートルの上空を平均60時間で飛ばす計画であった。
実際の戦果は、米本土および周辺におよそ285個が到達し、爆発したもの28、疑わしいもの85、人的損害一件6人、物的損害小規模な山火事二件、配電線切断一件。到達率3パーセント、爆発を起こしたもの1パーセント未満。
この間日本国内では食用コンニャクが食卓にのぼらなくなっていた。
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