文章の意味と感想を分けてみる
役を演じ分けるヒント。
「読解とは、難しくてよく分からない文章を、同じ意味のかんたんな言葉(類語)に置き換えて、自分にもわかるようにしていく作業のこと」です。8月11日のブログでもう少し詳しく解説しています。
意味はひとつ。だけど感想は無限?
その文章を読んで、「あなたはどんな気持ちになったのか?」が【感想】です。
- まず「この文章はこういう意味なのか」と理解しましょう。
- 次に「文章の意味がわかったとき、あなたはどう思ったか」の段階に進みましょう。
演技との関連性
SFではおなじみの「地球を破壊してやる」という台詞で考えてみましょう。
【読解】
「地球がこわれると、みんな死んでしまう。生きていられない」という意味だと理解するのが【読み解く】ということ。
【感想】
そこであなたは「そんなのイヤだよ、こわいよ、やめて、誰か助けて」という【感想】をもったとします。
それでは【物語の登場人物】は、どう思ったのか。あなたと同じとは限りません。
正義のヒーローなら「そんなことさせてたまるか!」と憤怒(ふんど)して、自らを奮い立たせるかもしれません。
悪い侵略者なら「すべてが自分の思うままだ、うれしくてたまらない」と心の奥底から喜びがわき上がっている最中かも…。
このように、文章を読み解いて理解して、登場人物はその性格や立場の違いによってどのような感想を持ったのか、を表現していくのが演技です。
さらにもうひとつ踏み込みましょう。
「状況」によっても感想は変わります。いつも同じ気持ちになるとは限りません。
たとえばあなたが、会社をクビになって、泥棒に入られて、恋人にフラれるといった最悪の状態だったら「地球を破壊してやる」といわれても、「お好きにどうぞ…」みたいな、いつもとまったく違う投げやりな気持ちを持つかもしれません。
これは正義のヒーローも同じです。ですからキャラクターの性格だけでなく、その場の状況も読み解いて表現していくのが演技なんですね。
Voice actor laboratory 声優演技研究所