悪役を考える
演劇に出てくる悪い人は、いい人のふりをしているだけ…
本当にそうでしょうか
ブレヒト演劇には【二重人格?】と思えるようなキャラクターがしばしば登場します。
「人のいい人情家なのに、ビジネスのことになると冷酷になる」という人物たちです。
黒澤映画「悪い奴ほどよく眠る」に登場する、岩淵副総裁(日本未利用土地開発公団副総裁)【演:森雅之】もそうです。
家族の前ではとてもいい父親なのに、人が死んでもなんとも思わない人物。それが岩淵副総裁です。
さて現実では?池上彰さんが解説しています。
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資本家は、ライバル企業と激しい競争をしていますから、少しでもコストを下げないと、倒産に追い込まれます。
資本家個人は、人間的にはいい人であっても、競争に勝つためには、冷酷な資本家にならざるを得ない。これが資本主義だというわけです。
池上彰 増田ユリヤ 「世界史で読み解く現代ニュース」 ポプラ社
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マルクスは「資本論」の最初で、別に資本家のひとりひとりが悪いわけじゃないんだよ、ということをわざわざ言っています。
いわゆる資本家の人たちは、人間的には、個人的には、あるいは家庭のお父さんやお母さんとしてはとってもいい人かもしれない。ただお金を増やそうと考えていると、どんな人でも結果的に資本家として冷酷なことをせざるをえなくなる。
だから個別に「あの資本家は悪いやつ」と言っているわけではない。経済の動きとして自然にこういうふうになってしまうんだよ、ということを言っているんです。
池上彰の講義の時間 高校生からわかる「資本論」集英社
まとめると、こうなります。
白雪姫などでは
1.人間の心は【善か悪】どちらか片方に偏(かたよ)っている。「白雪姫」の魔女は、ひつじの皮をかぶったオオカミ。いい人に見せているのはウソをついているだけ。
ブレヒトや黒澤明は
2.人間の心には【善・悪・その他】いろんなものが潜んでいる。場面に応じて、いい人に見えたり悪い人になったりする。
「白雪姫」の魔女は、白雪姫を騙(だま)して毒リンゴを食べさせます。いい人のふりをしているだけで本当は悪い人という考えかたです。
そういう作品がある一方で、レベルの高い演劇では、池上彰さんが述べているのと同じように、さらに踏み込んで人間を描いているんですね。
つまり人間の本質です。
知っているからこそ、いろんな表現ができる声優をめざしましょう。めざせ!演技派声優
久しぶりに生徒が赤ちゃんを連れてきてくれたので、スーパーボールを床や壁にぶつけて遊んだぞ。
あと5年もしたら「気味の悪いおっさん」とか思われて遊んでもらえなくなるでしょうからね。
あ・・・えーと、とっても楽しいレッスンが出来ました。それでは、また来週。
Voice actor laboratory 声優演技研究所