悪魔の神話学
悪魔は、もともと神様だった。
ちがう、ちがうホントの話。
中世のヨーロッパでは人びとにキリスト教の信者になってもらおうと、
それまでのヨーロッパ各地にあった農耕儀礼にもとづく【自然崇拝】の神様たちを「悪魔や魔女だ」と悪口を言って追い出したんだって。
「あいつは悪いやつだ」と決めつけて仲間はずれにするのっていけないね。
いじめなんてない世の中になるといいですね。
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悪魔の神話学~本文より~
中学校のクラスを想い起こしてみよう。
そこには数学の得意な子、野球の上手な子、音楽の上手な子など色々なタイプの生徒がいただろうが、
もしもそのクラスがいいクラスであったなら、
生徒たちはみな彼らの特殊性を積極的に評価し、彼らが好きなことにケチをつけることはなかった。
同じように宗教においても 人々の信じる神は種々雑多である。
だがこうした宗教的多様性は、中学校のクラスの多様性と同様、大事にされなければならない。
- 力ある者が、神に仕えているつもりで、じつは神の掟に背いていることが時々ある。(ジョン・アダムズ)
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西欧の歴史は、神や悪魔の名の下に無実の人々を数多く殺戮してきた歴史でもある。
十字軍においては、キリスト教の神のためにイスラム教徒を、魔女狩りにおいては「悪魔と契約した」という理由で無実の「魔女」たちを、そして16世紀半ばに南米のインカ帝国に攻め入ったスペイン人は、原住民を悪霊と結託した人々として惨殺した。
十字軍、南米の原住民の虐殺、イスラム教徒に対する敵意から見てとれるように、ヨーロッパ人はデモノロジー (悪魔学・デーモン学) の精神にもとづいて、異教徒を悪魔の仲間と見なしていた。
- 西欧はデモノロジーを発達させ、悪魔と結託していると見なされた人々を大量に殺戮してきた。西欧のデモノロジーは「虚構」の上に構築された誤った宗教思想であり、西欧の歴史は、「虚構」を信じたがゆえに招来された、なくてもよかった歴史にほかならない。
参考文献
悪魔の神話学 岩波書店
Voice actor laboratory 声優演技研究所