演技は8つ考える
映画撮影の初日。現場に現れた大滝さんの台本はすでに無数の書き込みでボロボロになっていたそうです。
演技派の名優として知られる、劇団「民芸」大滝秀治さん(故人)の逸話をご紹介します。
「演技は8つ考えろ」
大滝さんは若いころ先輩からそう教わったそうです。
しかし大滝さんは「本当にいい演技は1つ」だと信じていたそうです。
役の演技をたくさん考えた結果、台本がボロボロになったと思うのですが…
どういうことなのか、ちょっと考えてみましょう。
プロ野球の日本シリーズなどでは、対戦チームの情報が本当に山ほど集まってくるそうです。
相手選手のクセや、配球の傾向、得意なコースなど、覚えるべきことは沢山あります。
その“情報の洪水”に飲み込まれた選手は、シリーズでは活躍出来なくなってしまうそうです。かと言って、なにも考えなければやはり活躍は出来ません。
大切なのは「情報処理の能力」です。
あふれかえる情報の中から、本当に必要な物だけを選び出し、いらない情報は捨てていく能力です。
自分にとって本当に必要な情報を選び出せる選手は、活躍出来るんだそうです。
大滝さんも、それをやっていたのではないでしょうか。
たくさん演技を考えた上で、その中から本当にいいもの1つに絞りこんでいった結果がボロボロの台本になったと思うのです。
「演技は8つ考えろ」「本当にいい演技は1つ」
大滝さんは、そのどちらも実践していたのでしょうね。
とことん考え抜くことは大切ですね。
Voice actor laboratory 声優演技研究所