沈黙と饒舌【ちんもくとじょうぜつ】
【言葉が共通点】オンディーヌと人魚姫
どちらも水の精が主人公の悲しい恋の物語ですが、もう1つ共通点があります。
言葉です。
人魚姫は、人間になる代償として声【言葉】を失います。
言葉を失った人魚姫は、王子さまに自分の想い(恋心)や、王子の命を救ったのは自分であることも伝えられずに哀しい結末をむかえます。
もしも人魚姫が言葉を失っていなければ結果は変わっていたのかも・・・
もしも人魚姫がしゃべることができたなら
それをやった【のかも知れない】物語が、オンディーヌです。
水の精オンディーヌは自由奔放で快活(かいかつ)な少女です。社交界にデビューしてからもその性格は変わりません。思ったことはなんでも口に出してしまいます。
それが要因となって、愛するハンスとの溝が深まり、悲劇的な――しかし演劇史に残る感動的な――結末をむかえるのですね。
人魚姫は言葉を失ったために、
オンディーヌは思ったことをすぐ口に出してしまう性格のために…
キャラクターの方向性は、まったく逆なのに、結果的に同じように悩み苦しむのです。考えてみれば不思議ですね。
いろんな解釈ができる物語ですよ。おすすめします。
参考文献
完訳アンデルセン童話集1 岩波文庫
ジロドゥ戯曲全集5<オンディーヌ> 白水社
オンディーヌ 光文社古典新訳文庫
Voice actor laboratory 声優演技研究所