弁証法その2
Aという意見があります。【テーゼ】
Bという反対意見があります。【アンチテーゼ】
そのどちらも切り捨てたり妥協することなく、2つの意見を融合し、もっといいCという結論を見つけだす。【ジンテーゼ】
「お客さまに楽しんでもらうために演劇はある。声優は夢を売っているんだ」という意見があります。
わたしもこの意見に賛成です。
その一方で、社会派と称される演劇のジャンルも存在します。
ただこの社会派演劇は、お客さまからのウケはあまりよくありません。
「アパートの鍵貸します」【1960年アカデミー作品賞】などで知られる名匠ビリー・ワイルダー監督は、デビュー当初、社会派の作品を多くつくっていましたが、あまりヒットには恵まれませんでした。
そこで、コメディ映画の中に【社会の問題点】を紛れ込ませるという手法に切り替えたところ、ヒット作を連発するようになったのです。
ビリー・ワイルダーの映画ではありませんが、コメディのラブロマンスに社会の問題点を紛れ込ませた有名な作品に「ローマの休日」(ウイリアム・ワイラー監督)があります。
これは映画評論家の町山智浩さんが指摘されたのですが、わたしも全面的に賛成します。詳しくは、1月3日のブログ「ダルトン・トランボ」をどうぞ。
しかしコメディの中に「社会の問題点や道徳」を紛れ込ませる手法がある一方で、現在のアメリカ映画界では“分断化”も進んでいると町山さんは指摘します。
曰(いわ)く、「アメリカの映画界は1年を2つに分け、前半は、子供向けファミリー向けの『楽しいだけ』の映画がつくられ、後半はアカデミー賞を狙った重厚な作品をつくるようになった」
ひと昔前にあった、楽しいコメディ映画の中に、ちょっと考えさせられるような「教訓や道徳」を含んだ映画は、最近はあまり見られなくなったそうなのです。
ですが時代は常に変化します。
ネット配信
Netflix (ネットフリックス)のように、「カネは出すけど口は出さない。映像の制作者たちが、本当に作りたい作品を作ってくれ」という、演劇人たちにとっては夢のようなポリシーを持った会社も出現しました。
結論としましては
演劇は娯楽である一方で、社会の問題に鋭く切り込む一面も持っています。
その両面に対応できるように勉強していくことが大切だと思いますよ。
そんなことを話しながら、朗読のレッスンを行いました。
今年のレッスンは本日が最終日ですが、ブログは更新していきますので今後ともよろしくお願いいたします。
Voice actor laboratory 声優演技研究所