継続は力なり
プロ野球界の名将、落合博満氏の名言
私は誰に強制されることもなく、好きな野球に自分のペースで触れ、取り組んできた。
そして、プロ入りした瞬間から、野球は自分の仕事だという意識になり、24時間365日を野球で回していく生活になった。
子どもの頃から野球をやってきた人たちには言わずもがなだと思うが、野球が上手くなりたいのなら、体を動かす練習だけではなく、頭で野球を学ぶことも必要だ。
演技に置き換えて解釈すると、声優は、発声・滑舌・実技など体を使う演技の練習はもちろん、アニメや映画・舞台をみたり、日常の人間模様を観察して、頭で演技を学ぶことも必要だ、ということになると思います。
24時間365日を演技で回していく
その通りだと思います。全面的に賛成します。
ただ「言うは易く行うは難し」でもあると思います。人は飽(あ)きる動物だからです。
しかし同時に「人はハマる動物」でもあるのです。
本を紹介してお金をもうけようとは思ってません。なので
1.人間はハマる動物だ。
文明のはるかな起源は知るよしもないが、道具を作ったり荒地をたがやしたりする行動はかなり労苦を伴うことで、飽くことのない好奇心とたしかな報酬への予測に支えられなければ、それらを形にすることは不可能であったろう。人間のハマる能力がそれを可能にしてきたと思う。
2.私たちはまず「予測できないこと」に注目する。大事なできごとかもしれないからだ。
次にそれは「よいこと」なのかそうでないのかを判断する。言い換えれば、そこに近づくべきなのか、そこから遠ざかるべきなのかということだ。
もし、近づいたほうがよいことなのであれば、その次には何に近づけば「よいこと」に出会えるかを学ぶ。
2.を演技に置き換えて解釈してみましょう。
声優志望者たちはまず【外郎売、発声、滑舌、母音法など】に注目する。大事なできごとかもしれないからだ。
次にそれは「よいこと」なのかそうでないのか、言い換えれば、それを練習すべきなのか、やめるべきなのか。
もし、練習したほうがよいことなのであれば、その次にはどんな演技の練習をすれば「よいこと」に出会えるかを学ぶのだ。
継続は力なり
…とはいうものの、継続し続けることは簡単ではありません。ある日突然「なにもやりたくない」という無力感に襲われてしまうのが人間です。
そんなとき「気持ちがたるんでいる」と自分を叱咤激励すれば問題は解決するかというと、そんな単純でもありません。
だからこそ、いろいろ考えて深掘りしてみることは大切だと思います。
ビンジ
ビンジ「一時に大量に」という意味である。
ハマる行動には節度を保って摂取するということはない。自分の摂取行動にブレーキがきかなくなってしまう。なぜこのようなビンジ摂取がおこるのか?
ダイエットに関する研究にそのヒントがあった。
体重抑制のために食事制限(ダイエット)をしている人々に味覚のテストと称してミルクセーキを食べてもらう。その後自由にアイスクリームが食べられるようにしておくと、ダイエット中の人のほうがたくさんのアイスクリームを食べたのである。
これはどうしてなのだろうか?
この実験結果の解釈はこうである。
少々限界を越えたくらいなら、摂取過剰になったとしてもたいしたことはない。
ところがある種の人々は、ほんのわずかでも限界を越えてしまったら、大幅に超過したのと同じことだと思うのだ。
ミルクセーキを余計に食べた(食べさせられた)からには今回のダイエットの試みは完全に失敗しており、改めてゼロからやり直すほかに道はない。
だからアイスクリームの摂取に歯止めをかけるのはもはや無意味であり、好きなだけ食べたらよいのだと考える。
こういう考え方のクセはある種の「認知のゆがみ」である。
アルコールのビンジ摂取にも同様の認知のゆがみがはたらいていると考えられている。
禁酒の誓いをたてた人がほんのわずかなアルコールを口にしただけで元通りの大酒飲みに戻ってしまうのがそれであり、「破禁自棄効果」とよばれている。
「滑舌の練習を毎日、自分に課していたけど、ある日休んでから、その後はやる気がなくなってしまった」というケースがあります。
アイドル歌手のコンサートに、一度も欠かさず通い続けていたファンが、一回行けなかったことがきっかけで、その後まったくコンサートに行く気がなくなってしまった話を聞いたこともあります。
これは「三日坊主の心理」とは違います。
長いこと続けて習慣になっていても、なにかがきっかけで途切れてしまうと、急にやる気がなくなってしまうことが人間にはあるんです。
これも「ビンジ」の心理の一種なのかもしれません。
「認知のゆがみ」というものを知っておけば、自分の気持ちをコントロールできるようになるかもしれませんね。
飽きないのではなく、新しいものにハマっている
わたしは演技にハマっています。
演技の勉強を長年つづけていますが、あきません。
だけど厳密にいうと「かんたんなものには」あきているのかも…。次々と新しい演技の課題が出てきて、自分自身が次の演技のステージに進んでいるから、あきてないのかもしれません。
ゲームがやめられない心理に似てますね。
わたしは自分が演技にハマる心理を、そんなふうにも考えています。
今回紹介した本は演劇の本ではありませんが、内容を置き換えて解釈すると、演技人としての成長にも役立ちますよ。
いろんなことに興味をもって精査し深掘りしていきましょう。
参考文献
人はなぜハマるのか 岩波科学ライブラリー 岩波書店