ワークショップ 声優演技研究所 diary

「なんで演技のレッスンをしてるんですか?」 見学者からの質問です。 かわいい声を練習するのが声優のワークショップと思っていたのかな。実技も知識もどっちも大切!いろんなことを知って演技に役立てましょう。話のネタ・雑学にも。💛

「表現」と「表出」

目次

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社会学者の宮台真司さんが「表現」と「表出」について論じておられました。

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宮台さんは、演劇とは関係ない意味で述べられたのですが、この理論、演劇にあてはまります。

 

宮台真司

〈感情の劣化〉とは、簡潔に述べると、真理への到達よりも、感情の発露の方が優先される感情の態勢です。

 

つまり、最終的な目的が埒外(らちがい)になってしまい、過程におけるカタルシスを得ようとする傾向。


別の言い方だと、感情を制御できずに、〈表現〉よりも〈表出〉に固着した状態です。

 

ちなみに〈表現〉の成否は相手を意図通りに動かせたか否かで決まり、〈表出〉の成否は気分がスッキリしたか否かで決まります。

 

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あるアニメのプロデューサーさんから言われたことを、宮台さんの理論を読んでいて思い出しました。プロの劇団とアマチュアの違いについてです。

 

プロの劇団とアマチュアの違い 

 

  • プロの劇団とは
    お客さんを感動させられる集団。

     

  • マチュアとは
    お客さんではなく、自分が感動している集団。

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宮台さんの理論にあてはめてみましょう。

 

〈表現〉の成否は相手を意図通りに動かせたか否か

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つまり「この場面ではお客さんを笑わせよう」「ここでは涙してもらおう」と、自分の演技プラン通りに観客の気持ちをコントロールできるからこそ、お客さんを感動させられる。それがプロの劇団。

 

〈表出〉の成否は気分がスッキリしたか否か

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ここで笑ってもらおう、泣いてもらおうと思っても、演技力がないため観客に伝わらず感動させることができなかった。でも自分は精一杯やったからスッキリしている。満足だ。それがアマチュア

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「表現」と「表出」おぼえておこうね。

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