小間物屋のお駒は困りもの
滑舌トレーニング練習問題「小間物屋のお駒は困りもの」です。
男女2人で練習できる、別バージョンの外郎売だと思ってください。
お駒
それじゃ お父っあん 行ってきます。
約束のお時間がありますので。*1
駒吉
ちょいとお待ち、お駒。
お前さんがこれから伺う、武蔵野国狭山におすまいの指物師武蔵屋霜茂さんには霜之進という御子息があってな、その方とお前は古栗の切り口の古釘を打ち込んだ頃からの許婚、いささかのそそうがあっては後生の親代、相応のそしりはまぬがれぬ。*2
お駒
あれ、お父っあん、そのことなら早天早々豆州、下田の干物屋潮干屋緋十郎おじさんからもよおーくお聞きしています。お駒も、もう、桃栗三年、柿八年梅は切らずも十三年、桜切る馬鹿梅切らぬ馬鹿、墓、墓碑、碑文谷、広尾、広小路、ひとつ下って御徒町、もちーっと下って駒込の下町小町と道行く人のうわさもしきり、華も十八番茶も出花、花紅の菜の花は花に華はなかりしも霜降る頃の下野の下つかれにも下味に、つんつん鼻つく香りつくつくつくずくしの香辛料、家賃の書き換えも更新料、免許の目こぼしもみ消し料、量目品目木炭の木目まで指折り数え上げても揚げ足りぬ衣の中身は生のまま。処女、気くばり、着こなし、身のこなし、化粧ひとつも恥じらう気性、うぶ、ハブ、壬生、秩父、別府、湯布院の産湯で育ったこの日まで忘れるものじゃありません。*3
駒吉
はてさて長い口上は、紛れもなく儂の娘。
もちっと短くさくさくと、人前にても活かせれば、三十路までも一人身で行かずの売れずのぬれ衣を浴びる浴衣のまとわりもどかしさ。苦しまぎれのとぎれぬうちに、やっと報せの舞浜に波打ち際の合わせ貝、そのかいあってかあるまいまいつぶり、武蔵は狭山茶の香り指物指しても指ささず、仕上げ物の真贋至上の至極品、市場に品数品薄も、尤も成田の新勝寺・・・*4
まだまだ続きます。これでだいたい半分くらいです。
できるようになるコツは暗記すること。外郎売の上達法とおなじです。
台詞をおぼえちゃうと自分でもびっくりするくらいスラスラ言えるようになりますよ。
*1:
それじゃ おとっつあん 行ってきます。
約束のお時間がありますので。
*2:
ちょいとお待ち、おこま。
お前さんがこれからうかがう、むさしのくにさやまにおすまいの さしものしむさしやしもしげさんには しものしんというごしそくがあってな、その方とお前は古栗の切り口の古釘を打ち込んだ頃からのいいなづけ、いささかのそそうがあってはごしょうのしんだい、そうおうのそしりはまぬがれぬ。
*3:
あれ、お父っあん、そのことならそうてんそうそうづしゅう、下田のほしもの屋しおひ屋ひじゅう郎おじさんからもよおーくお聞きしています。お駒も、もう、桃栗三年、柿八年梅は切らずも十三年、桜切る馬鹿梅切らぬ馬鹿、墓、ぼひ、ひもんや、広尾、広小路、ひとつ下っておかち町、もちーっと下って駒込の下町小町と道行く人のうわさもしきり、はなも十八ばん茶もでばな、花くれないの菜の花は花にはなは なかりしも霜ふる頃のしもつけのしもつかれにも下味に、つんつん鼻つく香りつくつくつくずくしの香辛料、家賃の書き換えも更新料、免許の目こぼしもみ消し料、りょうもくひんもく木炭のもく目まで指折り数え上げてもあげ足りぬころもの中身は生のまま。きむすめ、気くばり、着こなし、身のこなし、化粧ひとつも恥じらう気性、うぶ、ハブ、みぶ、ちちぶ、別府、ゆふ院のうぶ湯で育ったこの日まで忘れるものじゃありません。
*4:
はてさて長い口上は、まぎれもなくわしの娘。
もちっと短くさくさくと、人前にてもいかせれば、みそじまでもひとりみで行かずの売れずのぬれぎぬをあびるゆかたのまとわりもどかしさ。苦しまぎれのとぎれぬうちに、やっとしらせのまいはまに波打ちぎわの合わせ貝、そのかいあってかあるまいまいつぶり、武蔵はさやま茶の香りさしものさしても指ささず、仕上げ物のしんがんしじょうのしごくひん、しじょうにしなかずしなうすも、もっとも成田のしんしょうじ・・・