声優演技研究所って、どんなところ?
むかしより今の子たちのほうが「演技についてよく知っている」と思って接するようにしています。
これはお世辞じゃなくてね。
我々の時代の演劇の本って、すごく難しい文章で書かれていたんです。わざと難しい言葉を使ってイジワルしてるんじゃないかと勘ぐりたくなるくらいに。(笑)
だけど今はそうじゃありません。
わかりやすい文章で書かれた演劇の本がたくさんあるんです。
もちろん現実には、そういう演劇の本を読んでない子もいるんだろうな、とは思います。
だけど「読んでいる」と思って接した方が、生徒を馬鹿にしたり、見下したりするような「上から目線」のレッスンがなくなると思うので、「生徒も演技を知っている」と考えた方がおたがいに気持ちのいいレッスンが出来ると思ってます。
ただ、「演技を知っているだろうから教えない」という意味ではありませんよ。
このブログを読んでくだされば分かってくれると思いますが、教えることは大好きですから。
演技がうまくなるには、演劇の本を読んだ方がいいのか?
必ずしもそうとはかぎりません。誤読ってことがあります。まちがって意味を理解しちゃうとかね。
アインシュタインの本に書いてあったんですが、
「アインシュタイン本はたくさんある。良書も少なくない。一方で“アインシュタインは間違っている”という困った本も少なからず出ている。そういうトンデモ本は、まさに笑っちゃうしかない」*1
昨年行われたPISAの調査によると、日本は文章に寄り添って「理解する」のは得意でも、書かれている内容や筆者の考えの妥当性を吟味するといった「評価・熟考」型の問いは苦手なことが判明しています。
今の世のなか、とくにトランプさんが出てきてから「両極端の意見」があふれているように思います。
だから、本を読むことはもちろん大切なんですが、友だち同士で意見を交換したり、いろんな人にアドバイスを求めることは大切だと思いますよ。
心がけていることは?
自分を過信しすぎないこと。
もちろん声優演技研究所に来てくれたら、どこにも負けない最高の演技指導をしようと思ってますよ。
そういうことじゃなくて、「自分は正しくて、他はダメだ」なんて思ったら独善的になっちゃうんですよ。
自分だけが正しいなんて思ったら、どんどんへんな方向に行っちゃうような気がするんです。
それをふせぐには、いろんなところにアンテナを張り、いろんな人の意見を聞いて、自分をアップデートしていくこと。
「演技の勉強は一生だ」といわれますが、それを実践することが大切だと思っています。
50歳をこえたけど、まだまだ成長期です。
Voice actor labo 声優演技研究所 巻島直樹