演技とは行動だ!行動の理由を見つけよう
ステラ・アドラーのメソッド演技「魂の演技レッスン22」より、印象に残った箇所を紹介させていただきます。
作品の中で俳優が行うことはすべて、アクションです。
演じること (アクティング) とは、アクション。つまり、何かを「する」「行う」ことです。行動がすべてだと思って下さい。頁58
行動に理由づけをする
次の目標は、アクションを行う理由を見つけること。これをジャスティフィケーションと呼びます。
ひとつひとつのアクションを行う理由は、セリフの中に書かれてはいません。あなたが考えて選ぶのです。しっかりした理由をもとにアクションを行えば、それにつれて何かを感じるはず。自然に感情が生まれます。あなたの中の何かを目覚めさせる理由を選んで下さい。
「私はなぜ、これをするのだろう?」そう考える習慣をつけてごらんなさい。あなたは大きく成長できます。
ジャスティフィケーションは役を演じている間、ずっと必要です。ひとつずつの動きに理由をつけることで、アクションにリアリティが生まれる。どんな理由を考えるか?想像力を使い、クリエイティブになりなさい。それが俳優のよりどころ。頁140
理由づけでは、感情を使ってはいけません。今そこにある状況に基づいて、アクションがしたくなるような理由を探しなさい。
机の引き出しを開けるのはなぜ?「鉛筆をとるため」「カギを出すため」「封筒に貼る切手を出すため」「取っ手が修理されているか確かめるため」。どの理由も筋道が通っている。その筋道を延長することができる。鉛筆をとって、便箋を出して、手紙を書く。カギを出して、デスクにカギをかけて外へ出かける。
日常のありふれたアクションにも、ジャスティフィケーションは必要です。しっかりした理由を見つけることによって、動作や感情への感性が目覚めます。頁143
理由を考えることで、単なる事実は体験に変わります。ジャスティフィケーションを効果的にできるかどうかに、才能が現れます。
理由もなしにアクションを演じたら、嘘のお芝居だってことがばれます。シェイクスピアの劇はすべて、セリフを読めば必要なアクションがわかるように書かれています。でも近代劇では、俳優次第。目に見える理由と、隠れた理由の両方がなければ、空虚な劇になってしまうのです。
近代演劇を見る観客は、自分たちと同じように俳優が行動するのを期待します。自分たちのおばさんやいとこと同じように行動しなければ「あれはおかしい、大げさだ」と拒否される。だから嘘っぽいお芝居は許されない。
アクションに集中すれば、嘘っぽさが消えます。アクションの理由づけをきちんと行えば、「今、これをやっているんですよ」とわざとらしく見せなくても大丈夫。近代的なスタイルの中では、わざとらしさは禁物です。頁152
魂の演技レッスン22輝く俳優になりなさい! フィルムアート社
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