ヒロインが捨て子だったら…
昭和の少女漫画のイメージ
おまえは橋の下でひろわれたんだヨ!
きっと私は捨て子だったのよ。本当は王女様にちがいないわ。
昔なつかし少女漫画の王道パターンですが・・・「もしも美しいヒロインが捨て子だったら?」というお話が川端康成の「古都」です。
古都 川端康成
ヒロインの千重子は捨て子でした。しかし愛情あふれる呉服問屋の養父母にひろわれ美しい娘へと成長します。
ところがそれだけではありません。
千重子は双子(ふたご)だったのです。親から捨てられなかった苗子は貧乏で、親とも早くに死別して「孤児」になっていたのです。
考えてみれば、生みの親の生活が苦しくて育てられないからこそ捨てられたのであって、
王家の娘が橋の下に捨てられてるってのは、ちょっと考えにくいですね。
クーデターとかで政権交代があったというんなら話は別ですけど・・・。
運命のいたずら
「古都」は、ふたごの姉妹をヒロインとしています。
捨てられた方がお嬢様となり、捨てられずに親もとに残った方が、さびしく、きびしい人生を生きていきます。
この小説のキーワードは「運命」です。
もしもあのとき、ちがう道を歩んでいたら・・・それを双子のヒロインを通して物語を展開していくのが「古都」なんです。
文句なしにおすすめします。
参考文献