アンドロメダ病原体と、はやぶさ2
地球外生物 (未知の細菌) が宇宙探測機を経由して地球を汚染する可能性。
再突入で燃えつきてしまう宇宙機は問題ないとしても、“生きた”帰還のほう——有人飛行や、スクープ衛星のような探測機——は、話がまったくべつである。
この場合は、汚染の危険がきわめて大きい。
スクープ計画
“近空間”——つまり、地球の上層大気——に存在すると思われる微生物を人工衛星で採集し、新しい生物兵器を発見するためのプロジェクト、それがスクープ計画である。
アメリカ・アリゾナ州の砂漠の中にある小さな町に、人工衛星スクープ7号が着地した。車両で回収に向かったショーン中尉とクレーン一等兵が見たものは、町の住民たちのおびただしい死体だった。
そしてその直後、ショーンとクレーンからの連絡も途絶えたのである。
これはSF小説の傑作「アンドロメダ病原体」の冒頭部分です。*1
そして現実の世界でも、宇宙からもたらされる細菌の可能性には「厳重な警戒」がされていました。
毎日新聞の記事を紹介させていただきます。
はやぶさ2 カプセル帰還
リュウグウの石「制約なし」
惑星検疫、生命の可能性で差
毎日新聞2020年12月7日 東京夕刊
探査機「はやぶさ2」が地球へ届けたカプセルには、小惑星リュウグウで採取した石や砂などが入っているはずだ。
他の天体の物質を、地球に持ち込んでも大丈夫なのか。
未知の生物が人間や地球環境に害を与える恐れはないのか。
実は、そんな心配に対応するための国際ガイドラインがある。どんなルールなのだろうか。
国際機関がガイドライン
太陽系探査で地球や他の天体の環境を守るキーワード、それは探査する天体に生物が存在しうるかどうかが判断基準となる「惑星検疫」だ。そして、世界の研究者らで構成されている国際宇宙空間研究委員会(COSPAR)という機関が、その検疫の「惑星保護方針」というガイドラインを定めている。
COSPARは、リュウグウに生物が存在する可能性はなく、はやぶさ2が持ち帰る物質を地球へ持ち込む際、特別な処置は必要ないと評価。先代のはやぶさが持ち帰った小惑星イトカワの物質も同様だった。
天体から持ち帰ってきたモノで地球を汚さないということにする。
たとえば火星のように地球外生命がいる、あるいは昔いた可能性が否定できない天体の場合は非常に厳しいルールが適用されるのだが、今回の場合は違うということで、生命の可能性で惑星検疫の対応には差が出る。
今後、火星や木星の衛星などの調査には惑星検疫が厳格になります。
日本が打ち上げる惑星探査機は、火星の衛星フォボスに着陸して試料を持ち帰るという計画があるのですが、検疫がどうなるか非常に興味がわきますね。
参考