怪獣使いと少年と
シウさんのマンガ
最初にことわっておきますが、わたしは「オマージュ肯定論者」です。
すごい原作が最初にあって、それに刺激された人たちが「もっといいものを作ろう」と考えるから芸術は進歩するんだと思いますよ。
あるところに「宇宙人と一緒に暮らしている」少年がいました。
廃墟となった建物に宇宙人と住んでいる少年は、町の人びとから嫌われています。
ですが、その宇宙人は【善良な宇宙人】だったのです。
ある嵐の日。
怪獣を見つけた宇宙人は、その超能力で、怪獣を地下深くに封印しました。
宇宙人は、怪獣の魔の手から人びとを守ってくれていたんです。しかし町の人たちはそのことを知りません。
雨の日、少年はパンを買いにやってきましたが、パン屋の女主人は「後でいろいろ言われるの嫌なんだよ。悪いけどよそへ行っておくれ」とパンを売ってくれません。
少年は、とぼとぼ帰ります。
するとパン屋の娘が後を追い、少年にパンを渡しました。
「同情なんかしてほしくないな」
「同情なんかじゃないわ。売ってあげるだけよ。だってうちパン屋だもん」
この「怪獣使いと少年」は、ウルトラマンが地球人を守ることを一旦は放棄してしまう、衝撃作です。
だからこそ、パン屋の娘さんのエピソードは重要なんだと思います。
この娘さんがいなかったら、ホントに守る価値なんて全然ないよ、と思っちゃうくらいすごい話ですよ。
「帰ってきた」じゃなく「帰ってしまったウルトラマン」とか・・・。
笑える。
死刑執行人とお花屋さん
「怪獣使いと少年」は【ヘビー】です。
「死刑執行人とお花屋さん」は【ライト】です。
だけど、どっちも最高です。
彼 (少年) は地球にサヨナラが言いたいんだ。
「怪獣使いと少年」ラストのセリフです。
いじめや差別のない、いい世の中になってほしいですね。