続・毒をもって毒を制す
昨日のブログの続きだよ。
戦国の忍び
忍びは、敵地への夜討、略奪など、悪党出身の特技を生かし、大いに活躍した。それが彼らの戦功となったわけである。
いわば、悪党としての本性を、大名によって外に向けられたといえるだろう。
悪党を忍びとして雇うことの意味について、戦国大名の側から捉(とら)えると、
悪党を雇えば雇うほど、野放し状態であった彼らを管理下に置くことができ、犯罪発生率を下げることが期待されていたと考えられます。
あとは大名の誘いに応じない、残る悪党対策を講じればよいわけです。
その悪党対策とは、村町からの密告と、忍びたちによる摘発、大名領主による追捕(ついぶ)*1という方法でした。
悪党には悪党をぶつけることで、問題を解決するのが、戦国大名のやり方となったのです。
このように大名は、悪党を編成することで、領国内の治安維持と安寧を実現しようとしていました。
悪党たちは、彼らの仲間に入っていない悪党たちを、その道に精通しているがゆえに、武士たちでは困難だった探索、摘発を実現しえました。
そして、悪党たちを捕え、処刑することにより、大名領国の安全維持に貢献していたのです。
あるいは、その過程で、降参したり、大名に服従することを申し出た悪党を、大名の許可を得て、新たに仲間に加えたこともあるかも知れません。
また戦時以外は、国境に潜み、敵地からの潜入者の摘発にも、大いに寄与したのです。
戦国大名にとって、悪党を忍びとして雇用することは、
1.軍事力強化
2.領国内の悪党の減少
3.彼らを使った犯罪の摘発
を同時に可能にする意味があったのですね。
参考
戦国の忍び 角川新書
*1:追いかけて捕えること