ガン治療最前線
光免疫療法
本日放送された、TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」からの情報です。
酒井綱一郎
関西医科大学が、第五のガン治療法として期待が集まっている「光免疫療法」(ひかりめんえきりょうほう) の、世界で初めての研究所を来年設立するって発表したんですよ。
今、ガンの治療というのは
1.外科手術
2.放射線治療
3.抗がん剤
4.免疫薬*1
それに加えて、5つ目の治療法として登場したのが「光免疫療法」なんです。
オバマ大統領のお墨付き
酒井綱一郎
光免疫療法は、アメリカの国立衛生研究所に小林久隆(こばやしひさたか)さんという主任研究員がいるんですけれども、その方が発明したやり方で、
2012年にオバマ大統領が一般教書演説で「偉大な研究成果だ」って発表したんです。だから注目はもともとされていたんです。
2012年って、ずいぶん前ですね。
酒井綱一郎
前なんですけれども、やっぱりこれでどういうふうに治していけるのかって研究してきて、ようやく日本で研究所をつくれるくらいまでなってきたって話なんですね。
光免疫療法ってどんな治療法?
酒井綱一郎
まず、がん細胞と結びつく薬 (薬剤) を患者へ投与するんですよ。そうすると薬剤がガン細胞のところだけに集まるんです。
そうするとそれが目印になるじゃないですか。そこに赤外線のレーザーを当てるんです。
それでがん細胞だけが破壊されるって治療なんです。
ガン細胞に薬が集まるのに24時間ぐらいかかるらしいんですね。
ただし、レーザーでやるのは一か所だと5~6分で済む。
光免疫療法のメリット
酒井綱一郎
何がいいかって言うと、5~6分で済むっていうのと、がん細胞だけ壊すんですね。
他の治療法ってのはどうしても、たとえば手術でも、健康な細胞まで取っちゃうっていうのがあるじゃないですか。
だからいろんな副作用がでるんですけれども、これはがん細胞だけやっつけるので、他の細胞を傷つけない、そういうメリットがあるんですね。
で、実際の臨床試験、いわゆる治験でどうだったのって話なんですが、
これはアメリカでやったんですけれども、従来の治療では効果がなかった、首から上の頭頚部ですね、このがんの患者さん、30人のうち4割でがんが消えたり、縮んだりしているという効果が出てるんですよ。
首から上のガンというのは?
酒井綱一郎
甲状腺とか、舌、口、鼻、耳。
で、日本でも去年から一部の病院で治療法が始まった、という話なんです。
保険適用されるかどうか
酒井綱一郎
今のところ、皮膚の表面に出来るガン、扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)っていうんですけれども、そのガンについては日本で保険適用されているんです。
さらに条件が付いていて
外科的な手術とか、他の治療で無理な場合に、保険適用としてやっていいですよって話になっているんですよ。
今後の展望は
酒井綱一郎
これから小林先生が日本にやって来て、いろんながんに応用範囲を広げていこうと、今、しているところです。
小林先生は、将来的には、乳がんとか食道がん、子宮頸がんなんかを対象としてやってみたいと
将来的にはがん患者の8割ぐらいに役に立てるようにしたいっていう話をされてるんですね。
だからこれ、どれだけ適用範囲が広がるのかっていうのが大きなポイントになってくる。
患者さんへの負担ってのも、ものすごく今までよりも、軽くなりますよね。
酒井綱一郎
副作用がない点では軽くなるのと、もうひとつ大きいのは、実はこれ、がんだけをやっつけるでしょう。
がんをやっつけたときに人間が持っている免疫力を高める効果がある。
そうすると、人間の免疫力が高まって「ガン細胞を自分の力でやっつけていく」っていう、そういうところも、今、研究がさらに進んでいるっていうことです。
光免疫療法の研究所は、どこに?
酒井綱一郎
関西医科大学の中に、2022年の4月に、30人体制ぐらいでやるっていうので、すごく期待したいなあって思ってるんですよね。
「光免疫療法」「小林久隆」のワードでネット検索したら、いっぱいヒットしました。
川端康成の小説に、肺病(結核患者)のでてくるお話があります。
がんも結核のように、あまり怖がる必要のない時代がくるといいですね。ただ、自分は・・・間に合わねぇだろうなぁ。
なんにせよ、いい世の中に❤