笑いの心理を深掘りする
「荻上チキ・Session」で笑いについての心理を深掘りしていました。
演技にも大いに役立つと思われますので、ぜひ。
荻上チキ
子供のころね、先生から叱られると、「ニヤニヤするな」とか「笑うな」みたいなことで、さらにその「態度を叱られる」ということがあったりしたんですけど。「真面目に聞いているのか!」みたいなね。
南部広美
あったねぇ・・・。「反省が足りない」みたいな?
荻上チキ
そうそう。で、わたし大人になってから、笑いについての論文をいくつか読んだんですが、笑いについてもいろんな種類があって、
当然ながら緊張してしまうと、それをほぐすために出てくる笑いもあれば、
自分を守るために、大変なしんどい状況だからこそ笑いながらでしか自分の…たとえば「この前、自転車盗まれちゃって」とかって話を、笑いながらでしか話せないっていう、〝緊張笑い〟もあるし、
一方でその、誰かから優位に立つときの、あざ笑う、〝イジメのときの笑い〟というのもあれば、
当然ながらくすぐられたときの、〝くすぐり笑い〟というのもあったりとか、いろんなタイプの笑いがあるってことを大人になって学んだんですよね。
で、子供のころ叱られてるときに、真面目には聞いているんだけど、叱られてるのがつらすぎるから、「真面目にメッセージは聞いているけど、心は安定したい」ということで笑ってたのを、さらに叱られるっていうことをされてたんだな、って思ったりしてね・・・。
南部広美
無意識にとってる行動すら叱られるつらさってことですよね。
荻上チキ
そうそう。そしてあの、「笑っちゃいけないのかな…」みたいなことも時おり思ったりすることもあるのさ。
南部広美
ああ、分かる。「ここで笑ったらダメ」っていうときこそ、なんか思いだし笑いがこみ上げてきたりして困ったみたいな。
荻上チキ
あと、「そこまでダメかなぁ…」とか、もちろんその、〝笑いイコール不真面目〟というわけでないことも当然あるわけですよね。
南部広美
もちろん、もちろん。
荻上チキ
でね、Session(セッション)の番組にお越しになるゲストの方とお話してるとき、
ゲストの方がちょっとその、笑い気味に話す、笑っているように聞こえて話すときもあると思うんだけど、
僕らがスタジオで話を聞いたり、実際に顔を見たり、リモートでつないでいる時っていうのは、そうとう緊張しているのを、笑いしゃべりで落ち着(つ)かせようとしてるなって場面にけっこうあったりして、
でもそれが、ラジオでとどくと、「あれ?笑ってるなこの人、なんでだろう…」なんて思われることもあったりするんだけど、
その背景に「なに笑いなのか」とか、「どの感情がそうなったのか」とか、そうしたことを考えるってことも、
子供のころから笑っちゃいけないって言われ続けて来たから、なかなか読み解くチカラみたいなものは共有されにくいのかな、みたいなことも考えたのね。
南部広美
状況に対して態度を一致させるっていう訓練を、ある意味我々は小さいときから、なんかこう、習ってくるっていうかさ、自分で学習していくから
荻上チキ
そう。「このシチュエーションは、この感情でしましょう」みたいな。
南部広美
そうそうそう。
荻上チキ
だけど、いろんな感情があるわけだから
南部広美
うまいことマッチしないこととかね・・・。
荻上チキ
僕もかれこれ思ってるんだよね。
僕も緊張すると笑ってしまうタイプなので、コントロールしようと思ってるところありますけれども…
いろいろと、Session(セッション)やってるなかでですね、いろんな人の伝え方があるんだな、ってことも、
そこも伝えていければいいな、というふうに思いました。
いろいろアンテナを拡げて、演技に役立てましょう。それでは、またね。