迷信とメソッド演技
黒猫が道を横切る
恋人の写真たてがたおれる
時代劇などで下駄の鼻緒が切れる、etc.
これらはすべて迷信です。
しかしアニメや映画の登場人物たちは、これらを不吉な前ぶれと受け止め、ストーリーも不吉な方向に進んでいく場合も少なくありません。
あなたは迷信を信じていない。
でも、あなたの演じているキャラは迷信を信じている。
そして
迷信を信じていないキャラも、アニメや映画に登場します。
「その山には入っちゃなんねぇ。祟(たた)りがあるぞ」と警告されても「バカバカしい」と山に入って化け物に食われちゃう役なんかがそうです。
あなたが、危険な場所には用心して近づかない慎重な性格であったとしても、演じているキャラがそうであるなら、そう演じましょうね。
「役を演じる」とは、あなたとは違う考えを持つ、別の人格を演じるということです。
演劇をおもしろくするのは、何であれ意見をもつことが大事。劇で演じる人物の意見と、あなた個人の意見は違っていてかまいません。
俳優として、あなたはどちら側の意見にでも同意できるようになりましょう。一方の意見にしか同意できないのであれば、あなたは自分自身にしかなれない人です。
思考の偏りを直すためには、「妊娠中絶は必要か」のように意見が分かれるトピックで練習するとよいでしょう。
まず賛成派の意見に立って述べる。その後、反対派の意見に立って述べる。
どちらの側に立ってもじゅうぶんに説得力があり、どちらが本当のあなたかわからない、と思われるレベルを目指せば、非常にいいエクササイズになります。
純粋な議論では、相手に勝つ必要はありません。相手を遮る必要もない。相手の意見に無関心ではいけません。常に興味をもって。意見を交わしながら刺激を受けて下さい。
それが、役を演じる第一歩であり、台本を読み込む第一歩でもあるんですね。
引用
魂の演技レッスン22 輝く俳優になりなさい! フィルムアート社
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