斉(せい)の厲王(れいおう)は姉と姦(かん)し、誅(ちゅう)を懼(おそ)れて、「薬を飲み自殺し、絶えて後無く」「国は漢に入った」。
かんたんに説明すると、こうなります。
斉の王様が、実のお姉さんとエッチなことをしました。お仕置きされてはかなわんなぁと、毒を飲んで自殺しました。家系は絶え、国は漢の時代に入りました。
最初これは、「近親相姦がバレたら大変だ」という意味かと解釈しました。紀元前に近親相姦という概念があったのかそういう考え方はエンドウ豆のメンデル以降かと思ってた
とビックリしたんですが・・・
どうやら〝不義による密通の罪が原因〟なんだろうなと考えを改めた次第です。
そう思うのは
「世家」の自壊作用は、相互作用説明の最初にあげた「荊燕世家」にすでに、現われている。
呂氏一族を討滅した燕王劉沢は「世家」を創(はじ)めた人であるが、その孫の定国(ていこく)は、父の姫(き)を姦(かん)し、弟の妻を奪い、子女三人と姦し禽獣(きんじゅう)とみなされ、自殺して果て、「国除かれて郡となった」。
また「斉悼恵王世家」でも、哀王の子の父王が卒すると子が無いため、「国除かれ、地は漢に入った」。
またその一族済北王(せいほくおう)は謀反して「漢はこれを誅殺(ちゅうさつ)し、地は漢に入った」。
景帝の御代、三国叛乱(はんらん)の際、「斉(せい)の孝王は討伐を懼(おそ)れて、薬を飲んで自殺した」。
と、あったからです。
赤文字部分を要約すると「たくさんの〝身内の〟女性と関係を持ったため、ケダモノとみなされ自殺した」ということですね。
近親相姦と読めなくもありませんが「身内の妻や娘になんてことするんだ」という怒りが原因なんだろうと思います。紀元前のこの時代に近親相姦という概念があったかどうかも分かりませんし。
でも考えてみれば〝男女関係が原因で破滅の道をまっしぐら〟というお話は、歴史・演劇問わず枚挙にいとまがありません。クレオパトラとか。
だからこそ映画や演劇はおもしろい、と考えることもできますね。
まぁこれが現実に自分の身に降りかかってきたら、とんでもないけどね。