珠玉の言葉たち
裏庭 梨木香歩
「あなたに預けていたものがあります」
「私の傷」
「これですね」
胸にしまっていた剣を取り出した。それは光り輝く宝玉に変容していた。
世界が一層明るくなり、テルミィはその美しさに呆然(ぼうぜん)とした。
「ありがとう」
女の人はそういって微笑み、それを受け取り、慈(いつく)しむようにその宝剣を見つめた。
「あなたがこんなに美しく仕上げてくれた」
さまざまな冒険の果てに、テルミィの心の傷は、まばゆいばかりの宝ものに変わっていたんです。
なんかいいね。
入院していて、他に読む本がなかったってこともあるけど「裏庭」は、3回も読んじゃいました。
何度か読み返してみると、最初は見落としていたものに気がついたりできるので、いいですよ。
引用
裏庭 新潮文庫