マリリン・モンローは演技派女優
「百万長者と結婚する方法」の撮影が始まった。
この作品でマリリンの喜劇役者としての才能に光が当たる。このことから、彼女は単なるセクシー女優ではないと言えるだろう。
喜劇役者にこそ、かなりの演技の才能が必要だということは同業者にはよく知られているが、一般的にはあまり理解されていない。
「あの人はおかしな人だ」と思われるだけで、演技だとは思ってくれないのだ。もちろん、演技だとすぐにばれてしまうようでは本当の喜劇役者とも言えないので、そこが難しいところである。
日本でも、多くの喜劇役者が年齢を重ねていくにしたがってシリアスな役をやりたがるのは、演技者としての才能を評価してほしいとの悲痛な思いからである。
だが結局のところ、シリアスな性格俳優へ転身したらしたで、演技者としては評価されても人気は失うことになる。
マリリン・モンローの場合、喜劇役者としての一面と、セクシー女優としての一面の両方で人気が出たが、それゆえに彼女は、「私は本当はシリアスな役ができるのだ」と訴え続けることになる。
そして、誰もそれを理解しない。
引用
大女優物語 新潮社