ロッキー
酒場の常連客が狂喜した理由を考える
「ロッキー (第1作) 」(1976年) の舞台となったフィラデルフィアの街には、画面のいたるところにゴミが散乱していました。
ゴミの収集は行政の仕事です。それが滞(とどこお)っているということは財源不足が考えられます。背景には経済不況がありました。*1
「不況」という視点から映画を観ていくと、主人公のロッキー以外の人びとも生活が苦しそうです。
「ロッキー」は、それまで苦しい人生を歩んできた主人公が、アメリカンドリームに挑戦する物語です。
が、
苦しかったのはロッキーだけではなかったんですね。金貸しのガッツォさん以外の街の人びとはみんな生活が苦しそうです。
そんなフィラデルフィアの人びとにとって、ロッキーはまさしく思いを一にした希望の星だったのでしょう。
だからこそロッキーがなじみにしている酒場の常連客は、世界チャンピオン・アポロの第一ラウンドのダウンにあんなに狂喜したのでしょうね。
「ロッキー」を初めてみたのは高校の時でした。そのときは、このような視点から物事を筋道立てて考えることはありませんでした。
「チャンピオン、ダウンやったあ、みんな喜んでる、僕もうれしい」くらいな見方しかできませんでした。
年齢を重ねると、映画の見方は変わりますね。
日常を観察して、現実と映画の世界をリンクして分析すると、映画の読み解きが深まるよ。