ワークショップ 声優演技研究所 diary

「なんで演技のレッスンをしてるんですか?」 見学者からの質問です。 かわいい声を練習するのが声優のワークショップと思っていたのかな。実技も知識もどっちも大切!いろんなことを知って演技に役立てましょう。話のネタ・雑学にも。💛

川端康成

東京五輪と井伊直弼と演劇

鎖国をやめて開国する 答えは一つしかないと分かっているのに、汚名を着るのを恐れて誰も決断を下そうとしない。 結局泥をかぶる決意をしたのは、大老井伊直弼(いい なおすけ)ただひとりでした。 幕末の大老、井伊直弼 彼について、悪人というイメージを持…

奔放な女性たち川端文学

これってつまり女たちの浮気の描写です。 舞姫 川端康成 ぜいたくと言われた女学校を、波子は出ていて、名家や富家にとついだ、友だちが多かった。 そういう家庭は、敗戦による、転落がはなはだしく、また、所帯じみないで来たために、中年の女になりながら…

変態小説

これはやばい、さすがにやばい、いくらなんでもシャレにならん。これを読んでしまうと、以前のブログで〝変態小説〟だと論じた「指環」が可愛く思えてしまいますぅ。 士族 川端康成 「絵が好きならうちへいらっしゃい。絵の本をいくらでも見せてあげるよ。」…

美しい少女が天から降ってきた

口笛を吹きながら、ドイツの詩人キュウゲルンゲンが人通りのと絶(だ)えた夜更(よふけ)の街を歩いているところへ、ばさりと美しい少女が天から降ってきた。 なんとなく有名なアニメ映画を思い出してしまうこの小説は、川端康成「海の火祭」の一部「香の樹」の…

川端康成にも失敗作がある?

海の火祭 川端康成 川端康成全集第二十二巻の解説によると「海の火祭」は失敗作であると川端自身が認めているようです。 「海の火祭」は川端が28歳の時に発表した作品です。 生意気を承知で言わせてもらいますと 他の川端文学と比べてみると失敗作というよ…

変態は時代と共に・・・

・・・変態(へんたい)小説ですぅ。 指環(ゆびわ) 川端康成 貧しい法科大学生が翻訳(ほんやく)の仕事を持って山の温泉場へ行った。 都会から来た芸者が三人団扇(うちわ)を顔にあてて、林の中の小亭(しょうてい)で昼寝をしていた。 林のはずれの石段から彼は渓…

ゴジラと川端康成とプロメテの火

伊福部昭とは ゴジラマーチを作曲した音楽家です。 川端康成「舞姫」に伊福部昭の名前が出てきたんでビックリしました。 引用させていただきますね。 舞姫 川端康成 波子は二日つづけて、帝劇へ行くことになる。 今日は、江口隆哉、宮操子の公演の第一夜で、…

ストーカーのお話

前回のブログでちょっとだけ触れた「人間のなか」についての考察です。 人間のなか 川端康成 「人間のなか」はストーカーの話であり不倫の話です。 しかもストーカー行為を働くのは、女性である桃代です。 川端文学には、「みずうみ」(←完全なストーカー小説…

行動する女性と川端文学

「美しさと哀しみと」(板見けい子)「女であること」(さかえ)のように、川端文学には「行動する女性」が描かれています。 それは、美しくて、勝気で、強情で、喧嘩好きで、利口で、浮気で、移り気で、敏感で、鋭利で、活発で、自由で、新鮮な、「丙午(ひのえ…

川端康成とコカコラの車

舞姫 川端康成 波子は電車のなかでも、ぼんやりしていた。 「お母さま、コカコラの車・・・。」 品子に言われて、外を見ると、横腹の赤い箱車が走っていた。 「舞姫」より 新潮文庫 p.93 もしかして、これのこと なんかもう、ブレヒトの「マハゴニー市の興亡…

心の中にいる悪魔と演劇

人間はふだん「悪い心」を自分の心の奥底に封じ込めている。 その自分の中にある「魔」に気づき、解放するのが演劇であり、役に近づく第一歩である。 これは、わたしがまだ若いころ、先輩の声優から教えられた言葉です。 この小説を読んでいて、それを思い出…

妹萌え💗と、父となる話

メッチャ都合よすぎ ありえない へそが茶を沸(わ)かしますね ・・・だけど なんだかいいなと思っちゃう話が——。 父となる話 川端康成 「これがお前のお父さんだと、お母さんが死ぬ時にくれた写真なのよ。東京にいるはずだから、お前が大きくなったら頼ってお…

時代の祝福

時代の祝福 川端康成 そう、そう、私は地震の時に (関東大震災のこと) ずいぶん沢山の惨死体(ざんしたい)を見ましたが、同じように腸(はらわた)を飛び出して隅田川に浮んでいるのでも、私は人間よりも馬の死骸(しがい)に涙を流してやりました。 だって、人間…

行動の観察と読解とスパイ小説

台本を読み解くには行動を観察しよう 2020年8月6日のブログより 台本に書かれた登場人物は、いろんな言葉(セリフ)をしゃべります。その言葉は本当のことだったり、あるいは完全なウソだったりと、さまざまです。 その言葉がウソか本当か見抜くには、登場人…

丙午(ひのえうま)の娘は魅力的💗

南方の火 川端康成 「午(うま)が祟(たた)っていたんですわね。」 自分が丙午(ひのえうま)生まれのことを思い出しているのである。 「丙は陽火なり。午は南方の火なり。」と「本朝俚諺(りげん)」に出ている。火に火が重なるから激し過ぎるというのだ。 弓子は…

母の初恋と非常

非常 川端康成 ———「お前との約束はあったかもしれないが、この女はおれのものになっている。」 「いや、この女を愛する愛し方を知っているのはおれ一人だ。」 しかしみち子は、その男をかばい、眉(まゆ)をそびやかして高らかに私を笑う。 「非常」(昭和13年…

妹萌え💗

孤児の感情 川端康成 父母が死んだ夏から、四歳の私と一歳の妹とは、別々の家に引取られて大きくなった。 幼い頃の私は父母が死んだことも忘れていたし、妹が生きていることも忘れていた。 だから、田舎の家の縁側に七歳の私と並んで焼栗(やきぐり)を食って…

川端康成「ちよもの」一覧

川端康成には「ちよもの」と呼ばれる作品群があります。成就しなかった初恋の人を扱ったものです。 川端22歳、ちよ15歳の時から交渉があり、翌年結婚話がまとまりましたが、少女の心変わりによって婚約は一方的に破棄され、川端の心に傷痕を残しました。 川…

ガン

余命半年、延命治療で1年。ただし患者さんのなかには5年くらい生存した方もいます。 2020年8月17日 (月) 13時半すぎ 巻島直樹は、全身にガンが転移していて、ステージ4【末期がん】の状態だと告(つ)げられました。 おもしろがろう、楽しもう 不思議なも…

心に残った言葉たち 小説編

川端康成「たんぽぽ」 「もしその崖で、お父さんの亡霊に呼ばれて、稲子さんがふらふらと崖から海に落ちたら、僕も落ちますよ。それも幸福だと思います。」 「およしになって。久野さん。稲子の父はそんな怨霊にはなっていません、絶対に。」と母は強く打ち…

姉弟の可愛らしいケンカのお話

弟の秘密 川端康成 猫好きのお姉さんと、犬好きの弟くんはいつも口げんかが絶えません。 姉弟の家では猫を飼っています。犬を飼うと猫とケンカをしてしまうかもしれません。 お姉さんは犬を飼うことに反対なのですが、犬がほしくてたまらない弟くんは、毎日…

映像が思い浮かぶ文章とは

川端康成の文章は映画的だ、映像が脳裏に浮かんでくる、といわれます。*1 これなんか正にそうですね。 化粧と口紅 川端康成 上野駅。 そこに発車を待っている汽車で、留伊子達のレヴュー団は旅立つのだった。 陸橋の上からは、そのトタン屋根から頭を少し出…

サイテーだけど最高に魅力的💗

こんな女に惚れたが最後、男は地獄へ一直線 それが「女であること」の登場人物、さかえという女です。 女であること 川端康成 さかえちゃんとは 年齢は二十歳くらい。美人です。 気を悪くすると三日も四日もなんにもしません。行動は計画性がなく行き当たり…

幻想文学と心霊ブーム

大正文学の特色のひとつは、明治期の自然主義文学 (リアリズム小説) と違って幻想文学、今日でいうオカルト・ファンタジー小説への関心が高まったことがあります。 そして川端康成も幻想文学や恋愛怪談を書いているんですね。 それは、このような時代背景が…

ヒロインが捨て子だったら…

昭和の少女漫画のイメージ おまえは橋の下でひろわれたんだヨ! きっと私は捨て子だったのよ。本当は王女様にちがいないわ。 昔なつかし少女漫画の王道パターンですが・・・「もしも美しいヒロインが捨て子だったら?」というお話が川端康成の「古都」です。…

薔薇の幽霊 と 薔薇の家

少女向けに書かれた川端康成の、心温まる作品を紹介します。 薔薇の幽霊 (昭和二年発表) 山あいの村に一軒だけある借家「薔薇(バラ)の家」には幽霊が出るんです。 でも悪い幽霊ではありません。 心優しい幽霊さんは、薔薇の家に住んでくれた人が気持ちよく暮…

読解力アップの入門書

川端康成「学校の花」は、可憐(かれん)で美しい旅芸人の少女、小夜子にほのかな恋心を抱く男の子のお話や、女の子どうしの友情や、血のつながらない母と子の愛と葛藤を描いた、少年少女向けの心温まる作品です。 学校の花 「この間、僕、役者の町廻(まちまわ…

鵜と生産者の姿と、プロレタリア文学

時代の祝福 川端康成 篝火(かがりび)を見て古めかしい抒情詩を歌うようなことは、私達文学者の間では時代後れであるばかりではなく、時代の良心に背くものとされています。 篝火を見るよりも鵜(う)を見よであります。 けなげに早瀬へ潜って鮎(あゆ)を捕える…

犯罪と屋根と壁の法則

時代の祝福 川端康成 ——私は先年の東京大地震の直ぐ後で浅草の小学校の屋上庭園へ登ってみたことがありました。 鉄筋コンクリイトの四階建でしたが、ちょうど私の傍(そば)に巡査が一人立っていて、まだぶすぶす煙が立っている見渡す限りの焼野ヶ原を見晴しな…

機動戦士ガンダム・シャアのモデルとなった人物

川端康成「Oasis of Death ロオド・ダンセニイ」に、第一次世界大戦ドイツ軍エースパイロット マンフレート・フォン・リヒトホーフェンについての記述がありました。 リヒトホーフェンは、ガンダムのシャアと同じように自分の搭乗する戦闘機を赤く染めてい…