ワークショップ 声優演技研究所 diary

「なんで演技のレッスンをしてるんですか?」 見学者からの質問です。 かわいい声を練習するのが声優のワークショップと思っていたのかな。実技も知識もどっちも大切!いろんなことを知って演技に役立てましょう。話のネタ・雑学にも。💛

いきなり夢が叶ったら・・・

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生徒に勧(すす)められて読んでみました。

芋粥(いもがゆ) 芥川龍之介

平安朝という遠い昔、摂政藤原基経(せっしょうふじわらもとつね)に仕(つか)えている侍の中に、某(なにがし)という五位(ごい)がありました。

気が小さくて臆病な五位は、仲間だけでなく子供たちからもバカにされ軽蔑されていました。

しかし、そんな五位にも夢がありました。

芋粥(いもがゆ)です。

芋粥とは山の芋を中に切込んで、それを甘葛(あまずら)の汁で煮た、粥のことです。

当時はこれが、無上(むじょう)の佳味(かみ)として、上は万乗(まんじょう)の君の食膳(しょくぜん)にさえ、上せられました。

五位のごとき人間の口へは、年に一度、臨時の客のおりにしか、はいりません。

その時でさえ、飲めるのはわずかに喉(のど)をうるおすに足りるほどの少量です。

そこで芋粥をあきるほど飲んでみたいというのが、五位の唯一の欲望になっていました。

それを知った藤原利仁(ふじわらとしひと)は、それならばと、五位の夢を叶(かな)えてやることにしました。

なみなみと海のごとくたたえた、およそ、二、三千本の山芋でつくった、恐るべき量の芋粥である。

これを、まのあたりに見た五位は、まだ、口をつけないうちから、すでに満腹を感じてしまい

「どうぞ、遠慮なく召し上がってくだされ」とすすめられても、お椀一杯分の芋粥も飲むことは出来ませんでした。

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せっかく夢がかなったんだから、お腹いっぱい食べればいいのに・・・とも思いますが

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芋粥の夢を、別のものに置き換えてみると五位の気持ちがわかります。 

武道館で満員の観客を前にコンサートを開きたいんです。

わかりました。さあ、どうぞ。

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と、いきなり本当にその夢が実現してしまったら、緊張のあまり手はふるえ、足はすくみ、声はかすれ、言葉はしどろもどろとなり、コンサートどころじゃなくなるような気がします。

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芋粥は、そういった人間心理を示唆しているのでしょうね。

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因(ちな)みに、この芋粥の話題が出た日の夕飯は、冷凍のすりおろした山芋1㎏を買って来て、麦ごはんに山ほどかけて、腹いっぱい食べました。ンまかったです。

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いくらなんでも食いすぎです。それに芋粥は、そーゆー話じゃありません。

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今回の話はすべて実話です。それでは、また。

参考
羅生門・鼻・芋粥 角川文庫

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www1.odn.ne.jp

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