十二人の怒れる男・リアルと演劇の違い
容疑者が、本当に罪(殺人)を犯していたのか、劇中で明らかにされない裁判劇。
それが「十二人の怒れる男」です。
裁判を描いた作品では、容疑者が罪を犯していたのか「タネあかし」をするのがふつうです。
人殺しはしていない「無罪」めでたしめでたし。
人を殺していた「無罪」あ~ぁ・・・犯人に騙されちゃったね。
etc.
だけど、この種明かし、演劇だから分かるんであって、現実では本当に人を殺していたかどうかなんて、裁判が終了しても分かりません。
それだけに「十二人の怒れる男」は、とてもリアルで現実に即した裁判劇だといえるでしょう。
この作品では、もしかしたら有罪かもしれない容疑者を無罪にしてるけど、いいの
いいんです
疑わしきは罰せず
はっきりした証拠もないのに あんたが犯人有罪死刑なんて判決が出たら、それこそ大変です。
冤罪事件は想像以上に、たくさんあります。
だからこそ、少しでも疑問があるなら、間違った判断をしないようとことん調べてから判決を下そうよ、というのが「疑わしきは罰せず」の理念であり、「十二人の怒れる男」のテーマでもあるんですね。
なんにもしてないのに あんた人を殺したでしょ死刑なんて濡れ衣(ぬれぎぬ)を着せられないためにも「疑わしきは罰せず」の精神は大切なんですね。