「あらしのよるに」と、他人の気持ち
おおかみとヤギの友情を描いた童話「あらしのよるに」で知られる作家、木村裕一氏が自身の著書でこう述べておられました。
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書いた話は、他の人が聞いておもしろいのだろうか。もしかしたら、おもしろいと思っているのは自分だけかもしれない。自分だけ独りよがりの世界にいて、本当は皆に笑われて、馬鹿にされているのかもしれない。
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正直に言えば、『ふぶきのあした』も何回も書いているうちにわからなくなって、編集者に『これっておもしろいの?』って聞いたぐらいだ。読者の評価を得てはじめて、『あ、よかったんだ、おもしろかったんだ』と思ったくらいだ。
客観的に見るということは、意外にむずかしいことなのである。
きむら式 童話のつくり方 講談社現代新書より
バブル経済
「他人の気持ちを考えて、悩む」お話は経済の世界にもあります。バブル経済がそうです。
そもそも株を買うとは?
自分の好きな、応援したい会社の株を買う。それだけならバブルは起こりません。
バブルとは?
「自分は好きじゃないけど、みんなはこの株が好きかもしれない。それならこの会社の株を買っておけば、お金がもうかるな」
そうやって「きっと他人は好きだろう」という【おカネもうけ】の思いが集中して頂点に達したときに
「えええ?だれもこの株、好きじゃなかったの???」
と気がつき、みんなが一斉に株から手を引くことで、バブルが崩壊するんだそうです。
経済学者のケインズは「自分の好みじゃないけど、みんなはこういうタイプの女性が好きだろう」と想像して、本当は誰のタイプでもない、架空の人気ナンバー1の女王を作ってしまう「美人コンテスト」をたとえ話にしてバブル経済を説明しました。*1
参考:NHK 欲望の経済史~ルールが変わるとき~
これは恋愛もそうですね。「男の人がくれるプレゼントって、だいたいにおいてサイテー・サイアクよね」という女子トークは、よく目や耳にします。
洞察力と観察眼
相手のことを考えて、うまくいかなくて空回りをしてしまうのは、すべてのことに共通しているのかもしれません。まさしく「人生における壁」ですね。
「乗りこえる壁」には「技術・技量を向上させ困難を突破する」ことが必要だと思います。
技術・技量の意味を調べると
技術とは、かなり多義的に用いられる言葉であり、 ものごとを取り扱ったり処理したりするときの方法や手段。および、それを行うわざ。ものごとをたくみに行うわざ。社会の各分野において、何らかの目的を達成するために用いられる手段・手法。
技量とは、物事を行う、特別なうまさや力。うでまえ。手なみ。――とあります。
「他人はなにを考えているんだろう…」洞察力、観察眼という技術をみがいて向上させ、壁を乗りこえてまいりましょう。