ファンタジーを現実で読解する。
「エクソシスト」(1973年)
「悪魔なんて現実にいませんよ」
悪魔を否定していた神父が「本物の悪魔憑(つ)きだ」と確信して、壮絶な悪魔祓(ばら)いがくり広げられていく…それが映画「エクソシスト」です。
登場人物がファンタジーの設定をはじめから信じてるんじゃなくて
最初はまったく信じていなかったんだけど、真実としか思えない超常現象が次々と起こって、いやおうなく事件【物語】に巻き込まれていく・・・というのは、オカルト映画やファンタジーのテッパン的おやくそくですね。
ここからは、きのうのブログの続きだよ。
光文社古典新訳文庫・ジロドゥ作「オンディーヌ」二木麻里・訳を参考に解説させていただきます。
どんな方法で読解したの
「オンディーヌ」というファンタジー作品を、基本的に「日常の感覚」を用いて読み解きました。
オンディーヌ第11場は、王妃と「水の精」を自称するオンディーヌの2人が登場します。
まずは王妃の心情です。
王妃の心情を探るには、第10場、頁133のオンディーヌ最後のセリフが参考になります。
オンディーヌ
「じゃ、あなたにはあれが聞こえないの?みなさん聞こえないんですか?このスキャンダルであたしはだめになるし、似たようなことが一週間もつづけば夫もうしなって、・・・・(後略)」
このオンディーヌのセリフを聞いて、王妃は
頁134で「かわいそうな子!」
続く頁135で「わたしに任せなさい」という気持ちになり第11場へと続きます。
オンディーヌのように――私は水の精――を自称する子は、現実にいます。
今はどうなのかわかりませんが、80年代は「幽霊がみえる」という女の子がけっこういました。
芸能人でいうとゆうこりんですね。コリン星の王女様です。ゆうこりんによるとコリン星は爆発してしまったようですが・・・。(笑)
「霊がみえる」という子は、ゆうこりんのオカルトバージョンです。
つまりほとんどの場合、「わたしに注目して💗わたしをかまって💗」という、かまってちゃんです。
「霊がみえる」という子は、だいたい3つのパターンに分けられます。
1.自分を見てほしいから、へんてこなウソをついている。
2.本当に見えていると本人は思っている。ただし精神に異常があって、頭がおかしい。
3.本物の霊能力者。
※サギを働こうという人たちは、また別のパターンに分類されますので今回は除外します。
はじめ王妃は、オンディーヌのことを1.か、2.だと考えていたんだと思います。
2.の場合でも、田舎から出てきて、急に環境が変わったため、ストレスで精神がまいっていて、ちょっとしたノイローゼ状態になってしまったんじゃないか・・・。
だとしたらオンディーヌの話し相手になって、やさしく接してあげれば、彼女の気持ちも落ちつき、幻覚や幻聴、虚言癖(きょげんへき)もおさまるんじゃないか、と考えたんだろうと思います。
でもオンディーヌの話を聞いていくうちに、本物の水の精だ!ということがわかったというのがこの第11場の流れです。
基本的には、そんな感じで読み解いていきました。
ほかには王妃が、「オンディーヌはウソをついているんじゃない、本物だ」と確信するに至ったセリフはどこなのかを特定して、
第11場ひとつひとつのセリフの意味を、あくまでも現実の感覚をもとに明瞭にしていきました。
オンディーヌは純粋な子です。
でも「純粋な子は、疎(うと)ましがられるのが世の常」という桐生操の「人魚姫」とか、「テレパスは超能力者の中で最もきらわれる宿命にある」という筒井康隆の七瀬シリーズも参考にさせていただきました。
なんにせよ、リアルな演技レッスンが出来たんでうれしいです。以上、昨日のブログの続きでした。