スタニスラフスキーと型の演技。
スタニスラフスキーと 「型」 の演技の違いについて、生徒たちに話しました。
【型の演技とは?】
登場人物が、画面の左右から歩いてきます。
すれ違って少ししてから、片方の人物が 「ちょっと待て」 と、振り向かずに背中越しに相手の人物に呼びかけます。
もう片方の人物も、立ち止まりますが振り向きません。お互いに背中を向けたままです。
そうして背中を向けたまま、クールに会話をする。
外国映画ではアクション映画、日本では時代劇や刑事ドラマなどを見ていると、こういう場面はよく出てきます。(クールな場面が多いです)
背中越しにクールに会話をするのは、カッコいいです。
だけど、現実にこんなことってあるのでしょうか。
私は生まれて50年以上たちますが、現実の社会で、背中越しで会話している人物は一度も見たことがありません。
テレビや映画では、何度もみていますが・・・。
そもそもホントにそんな人がいたら、失礼だと思います。
会社などで部下から相談を受けた上司が、
1. まず、髪をかき上げながら部下から視線をそらし、
2. クルリと部下に背中を向けて、カッコよくポーズをとり、
3. クールな雰囲気で部下に話し始めたりしたら、(このような演技はTVのCMなどで散見できます)
「何考えてるんだろ、この人は?」 と思われて 「ヘンな上司ナンバー1」 の称号を文句なしにもらえるでしょう。
はい、これが「型」の演技です。(不思議なことに、テレビだと失礼な人物には見えないんですよね。)
映画やテレビでこういった演技をすると、すごくカッコいいけど、現実にはこんなことはないよね、リアルじゃないよね、といった演技です。
これとは逆に、現実や日常でも見られる自然なしぐさを基(もと)にした演技が、スタニスラフスキーに代表されるメソッド演技です。
【スタニスラフスキーで、同じシチュエーションを演じると】
現実では、すれ違ってから相手に呼びかけられると、振り返りますよね。お互いに振り返ってから話し出します。
例外としては、呼びかけられた方の人物にやましいことがある場合、立ち止まったまま振り向かないで固まるか、逃げ出してしまうことはあるでしょうが、少なくとも呼びかけた側の人物は相手に向かって振り返ると思います。
スタニスラフスキー<メソッド>演技と、型の演技。
どちらが正しいか、ではなく、どちらにもいい部分はあると思います。
演技の答えはひとつではなく無数にあります。
ですから、作品の内容や、場面の状況などを考えて、ここではどちらの演技手法を使ったほうがお客さんにウケルか、を基準にして、両方を使い分けていったほうがいいと思うよ。といったことを生徒たちに話しました。
いいか悪いかではなく、おもしろいかどうかの判断基準が演技では必要ですね。
◇ ◇ ◇
「本日のレッスン」
CHIBAさんとKONOさんコンビの演技が最高でした。
レッスン中に大いに褒めました。2人ともとても良かったです。
成長しましたね。私もすごくうれしいです。
また来週も頑張りましょう。応援しています。
~いい演技は楽しい雰囲気から~
Voice actor laboratory 声優演技研究所