役の性格
「人間なんて首尾一貫した主義主張で動くもんじゃない、コロコロ変わるものだろう」
わたしは、何歳(いくつ)になっても、終戦後何十年たっても、短い期間ではあったが帝国海軍水兵であったことから逃れられないところがある。
そして軍隊生活、敗戦、軍隊から戻ってきての戦後の混乱窮乏期を通じて、人間というものは 変わるものだ と、骨身に沁みて思い知らされたところがある。
この人間認識は牢乎として抜きがたく、わたしの中に残っている。
【映画脚本家 笠原和夫氏の著書より抜粋】
笠原さんは、「軍隊で酷(ひど)い目に遭った人間と、軍隊に入る前に終戦を迎えた人間では、考え方は変わってくる。戦争中の三年の歳の差は大きいのだ」 とも述べています。
実際に現場を経験した人と、憧(あこが)れのままで終わってしまった人の差、ということでしょうか。
この考え方は、いろんな作品の演技に応用が利くと思います。
役作りの参考になりますね。
◇ ◇ ◇
映画の脚本家さんが、「人間は変わる。だから役の性格も、映画の中で変わっていくのが当然だろう」 と述べているんですね。
これと同じことを、映画評論家の町山智浩氏も 「許されざる者」 (1992年アメリカ映画。クリント・イーストウッド監督・主演)の解説で述べています。
町山さん曰く
「それまでの映画はストーリーの冒頭でキャラクターの性格が示されると、最後までキャラの性格は変わらないのがふつうでした」
「でも、それって本当にリアルなんでしょうか」
「第一印象で、“いい人だな” と思っても、付き合っていくうちに、全然違う、ダマされた、なんてことは、現実ではよくあるんじゃないでしょうか」
「この 『許されざる者』 がそうなんです。映画の最初では “いい人” に見えるけど、物語が進むうちに、『あれ?』 ってなっていくんです」
「だからすごくリアルなんですね」そのように町山さんは述べています。
◇ ◇ ◇
「ナチュラルな演技って、なんだろうね」
今日は、こんなことを話しながらレッスンを行いました。
他には 「どんぎつね」 はイイネ!みたいな話もしました。
それでは、また!
参考文献
「映画脚本家 笠原和夫 昭和の劇」 太田出版
「映画はやくざなり」 新潮社
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