自然な演技とは
リアルな演技とは?の姉妹編です。
「ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒」(1999年)で、ある声優が自衛隊員の役で出演したのですが「そんなに滑舌(かつぜつ)のいい自衛隊員はいない」と監督さんから注意されたそうです。
「アナウンサーなどの役ならまだしも、そんなにセリフの歯切れがいいと自衛隊員としては浮いちゃうよ。だから滑舌を濁(にご)して」ということなんですね。
ある戯曲の練習をしたときに
その戯曲は<立憲君主制国家>の軍隊を舞台にしていました。
立憲君主制って?
イギリスをイメージしてください。イギリスには王様がいますが、政治は選挙で国民から選ばれた議員が行っていますね。そういう世界の軍隊が舞台です。
その戯曲には、○○卿。指揮官。隊長。兵士。○○国王女。皇帝などが登場しました。
「誰が一番上の立場なのかを考えながら演技してみよう。セリフはどう変わるかな?」と話しながらの練習でした。
これは学校の人間関係でもそうです。
仲のいい友達と、いじめっ子に、同じ口調で会話をするのはむずかしいです。
つまり私たちは、つねに人間関係を意識して生活しているんです。それも無意識に。
ところが
「自然な演技を」といわれると「オーバーではない、棒ぜりふに近い感じの演技」というイメージだけが自分のなかでひとり歩きして…
【人間関係を意識しないで】誰とでも平等<対等>にセリフを交わす演技をしてしまうケースがあります。
そんな人間関係は現実には存在しません。つまりそれは、自然な演技とはいえないんです。
まとめますと
1.人間関係を意識する。
2.滑舌などは、過剰に意識しなくても大丈夫。
そういう演技が「自然でナチュラルな演技」なんでしょうね。
いろんなことに興味をもって成長してまいりましょう。
Voice actor laboratory 声優演技研究所