ちょっと雑学
江戸川乱歩の登場
大正時代、まず純文学の作家たちが「探偵小説」に惹(ひ)きつけられました。
谷崎潤一郎、佐藤春夫、芥川龍之介、宇野浩二らが「探偵小説」を書き、その影響で江戸川乱歩が登場するのです。
探偵小説の流行
江戸川乱歩は、自著「続・幻影城」に収められた「日本探偵小説の系譜」の中で、大正末期から昭和初期にかけての約十年を「日本探偵小説の第一期」と定義している。
この時期には、江戸川乱歩、小酒井不木、横溝正史、夢野久作などの特徴ある作家があらわれ、日本における探偵小説の流行を牽引し、探偵小説は一躍メディアの寵児となるに至ったんだな。
「現実と夢想」谷崎潤一郎の世界
谷崎は明治末期に「至青(しせい)」「麒麟(きりん)」「秘密」「悪魔」など強烈な作品でデビューを飾りました。
大正期に入ると、映画や探偵小説に関心を持ち、影響も受けながら、人形、魔法、美食、悪女、分身、天災、病気、犯罪などをテーマに現実と夢想が入り交じった世界を描いた傑作を次々に発表したのです。
引用
夢見る部屋 新潮文庫
日本探偵小説文壇における「変革」流行について——大正末期『新青年』読者の視点から—— 著者 原田洋将