脅迫
もし警察に何か言うやつがいたら、そいつには何かが起きるだろうな。
犯行現場の目撃者を脅迫する・・・。犯罪ドラマなどではお決まりの脅し文句ですね。
そしてこの脅し文句は、間接的な脅迫で、直接、脅していないのがポイントです。
「何かが起きる」のは当たり前なんです。
犯罪の目撃者に限らず、警察に話そうが、話すまいが、誰にでも「何か」は起きるんです。
・恋人に会うかもしれません。
・雨に降られるかもしれません。
・テストに合格するかもしれません。
・宝くじに当たるかもしれません。etc.
脅迫した人物は「脅迫なんかしてないよ。こういう意味で言っただけさ」と〝言い逃れ〟が出来るんですね。
「あんたの住所、知ってるよ」とか「あんたのお子さん可愛いね」なども間接的な脅し文句の典型だな。*1
その、犯罪者の言い逃れを追求し阻止するのが、弁護士の仕事なんです。
私たちが脅迫を受ける場合、脅迫する側よりも「力の弱い立場」に置かれます。
したがって、もし裁判所や弁護士が、脅迫によってなされた危害と、当事者への影響を真剣に受け止めるなら
脅迫で、文字通り「言われていること」に焦点を絞るのではなく、文脈による発話によって【暗示される内容を含む】「伝えられていること」に焦点を絞る必要があるんですね。
言い逃れを追求し、犯罪を暴くのが、優秀な弁護士の仕事だよ、というお話でした。それでは、また。
——証言台での発話〔証言〕は特異な種類の発話なのだ。証言台はかなり異質な文脈を提供し、その文脈では厳密に何が言われているのかと、それとは異なる仕方で何が伝えられているのかとの区別が重要である。——
善良な弁護士がいる反面、悪い弁護士もいますので注意しましょう。
参考
言葉はいかに人を欺くか 慶応義塾大学出版会