ユリ・ゲラー
1973年、念力をめぐる対決が、テレビ番組『ジョニー・カーソン・ショー』でなされた。
この歴史的な対決を演じたのは、念力でスプーンを曲げられるという超能力者ユリ・ゲラーと、超能力者を名乗るペテン師の化けの皮を剥ぐことを人生の第二の仕事としたプロの奇術師、アメージング・ランディである。
放送が始まるとカーソンは、ゲラーのスプーンではなく、こちらで用意したスプーンを曲げてほしいと言って、ゲラーの不意を突いた。
するとゲラーはことごとくスプーン曲げに失敗し、醜態をさらしたのである。
後日、ランディはこの番組に出演し、スプーン曲げを見事に演じてみせた。ただし、それが超能力ではなく単なる手品だと言うのも忘れなかった。
アメージング・ランディは、信じやすい人をあざむくことに長けたプロの奇術師が、超能力者を自称して素直な大衆から金をだまし取ることにうんざりし、いかさまを暴く仕事を始めた。
とくに超能力者の芸をことごとく再現してみせるのを好んだ。
ランディは、自分のトリックで科学者をだますことさえできると豪語し、「私が実験室に行けば、どんな科学者もすっかりだませる」と話している。
引用
サイエンス・インポッシブル NHK出版