言いたいことが言えない恋愛
恋人に嫌(きら)われたくないばかりに、自分を押し殺して言いたいこともいえずに交際している人は少なくありません。
収入や地位、外見だけで結婚して、すぐに会話のない冷めた生活になってしまう夫婦。
DVにおびえる女性などは、まさしく声を失っています。
この童話の解釈<須田輸一氏>がすごい――。
人魚姫
人間になる代償として声を失う
もし人魚姫が声を失わなかったら、王子に恋心を伝え、なおかつ命を助けたのは自分であることも説明できたはずです。
王子と結婚できたかもしれません。
人魚姫の悲恋の原因は、声を失ったことによるところが大きいのです。
しかし、人魚姫にかぎらず、私たちの恋愛においても、“代償として声を失う状況”があります。
玉の輿(たまのこし)だと皆がうらやむ結婚でも、姑や親戚に言いたいことが言えずに苦労をしている人はたくさんいます。
恋愛だけではありません。
ママ友づき合いや職場、クラスメートの人間関係などで自分を押し殺している人はふつうにいます。
子どもの家庭内暴力におびえて声を失っている親もいます。
男女の関係にかぎらず、声が出ているか否かは生活全般に言える判断基準です。
「もし今のあなたが、なにかの代償として声を失っているなら、その環境を見直してください」と、童話「人魚姫」は時代を越えて語りかけているのかもしれません。
参考文献
おとなになって読むアンデルセン メトロポリタンプレス
Voice actor laboratory 声優演技研究所
読解力をみがく
ドラえもんで読解力UP
「わかりやすく言えば、こういうことですよ」と、かんたんな言葉に言いかえることが文章を読み解くということです。
では実際にやってみますね。
メディアリテラシーを養う
いろいろな新聞の社説を、くらべながら読んでみると、同じニュースに対して、新聞によって考え方がかなり違うことがわかります。
このように、新聞を比較して読むことによって、メディアリテラシーを養うことができます。
メディアリテラシーとは、新聞やテレビなどのメディアが発信する情報を読み解き、見極める能力のことです。
まず、メディアが何を言っているのかを理解し、そのうえで、それがどんな意図で発信されているのかを判断することが必要です。
たとえば、ある人物を応援しているメディアなら、その人が人気を得られるように、その人に関するいい情報を発信することもありえます。
逆に、ある人物を批判しているメディアなら、その人の人気が落ちるような、その人に関するマイナス情報を発信することもありえます。
情報を鵜呑(うの)みにするのではなく
「このメディアは、こういう立場だから、こう言っているんじゃないか」
「ここを強調するのは、こんなねらいがあるんじゃないか」
というふうに、情報の裏を読むことです。
そうした客観性をもって情報を読みとることがメディアリテラシーです。これは現代において、国際的に必要とされている能力です。
参考文献
国語は語彙力!受験に勝つ言葉の増やし方 PHP研究所
青文字の部分を「ドラえもん」のキャラを使ってわかりやすく読み解いてみますね。
まず、スネ夫が何を言っているのかを理解し、そのうえで、スネ夫がどんな気持ちで、それを言っているのかを判断することが必要です。
たとえば、スネ夫がジャイアンを応援しているなら、ジャイアンが人気者になるように、ジャイアンをたくさん褒(ほ)めることもありえます。
逆に、スネ夫がのび太をきらいなら、のび太の人気が落ちるような、のび太に関する悪いうわさを流すこともありえます。
スネ夫の言うことを簡単に信じるのではなく
「スネ夫は、ジャイアンに気に入られたいから、こう言っているんじゃないか」
「のび太の悪口を言うのは、こんなねらいがあるんじゃないか」
というふうに、スネ夫の心を読むことです。
文章の本来の意味は、「ある人物を、評価している新聞もあれば批判している新聞もありますよ」
「だから、いくつかの新聞を読み比べてみましょう」
と読み解くのが本来です。
今回の読み解きのたとえ話はちょっと強引ですが、そのへんはご容赦ください。
Voice actor laboratory 声優演技研究所
感情を開放する。
人は仮面をかぶり、正体を隠すことによって大胆になれます。心理学では「仮面効果」と呼ばれています。
ですから、照(て)れてしまったり、なんとなく恥ずかしくて、演技の基本のひとつである「感情の開放」が、うまくできない場合は
自分のままで感情を開放しようと【正攻法で押し切る】のではなく、「稽古場の中では他人になりきろう」と発想を変えてみるのも一つの手です。
ひいてはそれが、自分とは違う「役という他人を演じる」ことにもつながりますよ。
感情発散。その2
もうひとつ…
「旅の恥は搔き捨て<たびのはじはかきすて>」
これも、「自分が誰だかわからない旅先では、普段ならやらない恥ずかしい言動も平気でやってしまう」人間心理です。
この心理を応用して「稽古場の人たちはみんな自分を知らない他人だから、思いっきり大胆になれるぞ」と思い込むのも手だと思います。
これは、はじめていくワークショップなどでは効果大ですね。
ただ、「すなおな自分を出す」ことと「暴言を吐いてあばれる」ことは全然違います。自分らしく明るく楽しく伸び伸びとふるまってくださいね。
緊張することは誰にでもあります。ペンネーム、芸名を名乗る心理もある意味同じです。ネット掲示板の名無しさんも(笑)。だからこそ、ほんのちょっと視点を変えて、壁なんて乗り越えちゃおう。
Voice actor laboratory 声優演技研究所
生徒から教わった大切なこと
昨日のレッスンでは、生徒の一人から「生きかた」について教わりました。
おそらく「声優の仕事」も、同じなんだと思いますよ。
こういう考えがあります。
「労働はそれだけで善であり、男も女も働くという行為のおかげで、よりすぐれた人物になる」・・・
いいえ、違います。「労働」は、ちゃんとやって、初めて「善」となるんです。
「立派な仕事をしようとする心」があって初めて「よりすぐれた人物」になれるんですね。
初心忘るべからず
ひとりの人間としてちゃんと仕事をやる。
自分が大切にしている“気持ち”を忘れることなく、いくつになっても、どんなに偉くなっても、きちんと仕事と向き合う。
その繰り返しで「仕事が自分のカタチ」になっていくのです。
声優の仕事も、本質は同じだと思います。
声優演技研究所には社会人の生徒も通ってきてくれています。彼らからは社会について、いろんなことを教わります。
いい意味で「ウインウインの関係かな」なんて思ってます。
心に滲みるお言葉、ありがとうございました。
音読のすすめ
音読の効果
声を出さないで目で読む…つまり「黙読」していると、読めない漢字は【読み飛ばしてしまう】ことがほとんどです。
「おとなのための1分音読」「語彙力がないまま社会人になってしまった人へ」「大人の漢字教室」など数多くの著書で知られる、大東文化大学准教授の山口謠司さんによると
音読したほうが黙読より、「この漢字を読めていない」ことを自覚できるそうです。
音読のほうが、漢字が読めないままでいることを無視できなくなる。だから読み方を「辞書で調べてみよう」という気になる。
辞書には読み方だけでなく「言葉の意味」も載っています。
意味が分かれば、文章も読み解ける。読解力がUPすれば、演技の解釈や表現にも、以前より好結果が期待できるようになります。
読解力UPには音読という方法もあるよ。
そんなことを話しながら今日も文章の意味を読み解きながら朗読のレッスンを行いました。
音読すると、読解力がUPして演技もうまくなる?
漢字を読み飛ばしてしまうのは仕方ありません。漢字の意味よりもストーリーの先【その後】のほうが気になるのがふつうですからね。
ただ、漢字の読み方を知り、文章の意味を把握することで、表現に工夫がうまれ、演技がうまくなっていくことは事実です。
今日もそういった、いいレッスンが出来たと思います。みなさんありがとうございました。それでは、また来週。
情報元
久米宏ラジオなんですけど
Voice actor laboratory 声優演技研究所
シュレーディンガーの猫
SF好きな人なら一度は耳にしたことがあるでしょう。
シュレーディンガーの猫 は、SF映画やアニメのネタとしていっぱい出てきます。
どんな意味か知っておくと、いつか自慢できるかもしれないよ。
思考実験開始!*1
まず可愛らしい白黒の子猫を一匹選び、それから完璧に蓋(ふた)の閉まる箱を見つけましょう。
いったん蓋(ふた)を閉めたら、もう中の様子が外からはいっさいわからなくなるような箱です。
猫と箱がそろったら、次は特殊な条件の放射性物質を調達します。
この実験が行われている時間のあいだに放射線を発する確率が50パーセントであることが分かっている物質です。
あ、あの・・・放射線で猫を殺すんですか?
もちろん、ちがいます。ホッ、よかった。
毒です
ほかに必要なのは、あと三つ。
放射線検出器と、ハンマーと、毒の入ったガラス瓶を用意します。
そして、放射性物質の発した放射線を検出器が感知したら、ハンマーがガラス瓶をたたき壊して、毒をまき散らすように設定します。
これらをすべて――もちろん猫も――箱に入れて、蓋(ふた)を閉めます。
そして、待ちます。
猫が毒を吸って死ぬ確率は50パーセント…。すべては放射性崩壊しだい。
さて、ここでいよいよ質問です。この猫は死んでいるでしょうか?
箱を開けてみないかぎり、放射性崩壊が起こったかどうか知りようがない。したがってガラス瓶が壊されたかどうか知りようがないし、猫が死んでいるのか生きているのかも知りようがない。
現実に即して答えるなら、箱の中の猫は「死んでいるとも生きているとも」考えられます。
しかしそれらの答えはどちらも間違いということになるんです。
量子世界では、起こりうることはすべておこります。
この場合ですが、放射性物質が崩壊するのと崩壊しないのは同じ確率で起こりえます。したがって、どちらも実際に起こるのです。
すなわち量子世界では、猫が「誰にも見られないでいる場合」は、あらゆる量子的可能性が同時に起こるのです。
誰も見ていないかぎり、あらゆる可能性が起こりうる――そして実際にも起こる
量子世界のルールでは、箱が開けられないかぎり、猫は死んでも生きてもいない。その両方です。
猫は死んでいると同時に死んでいない。
死んでいながら生きている。それが「シュレーディンガーの猫」です。
死んでいるのと同時に生きている?
シュレーディンガーがこの思考実験を考案したのが1935年で、それからしばらくのあいだ誰もその謎には答えられませんでしたが、
ついにフランス人物理学者のセルジュ・アロシュとアメリカ人物理学者のデイヴィッド・J・ワインランドが、現実の実験を考案することに成功しました。
そこで使われたのは、猫ではなく、原子と光です。
その結果、彼らはシュレーディンガーの猫【量子的重ね合わせ】がまさしく本物であることを確認しました。
量子的粒子はほぼどんなものでも、互いに相容れない異なる状態のまま同時に存在することができて、実際にそうしてもいるのです。
アロシュとワインランドはこれによって2012年のノーベル物理学賞を共同受賞しました。
こうしてシュレディンガーの猫は、ある段階で本当に死んでいたと同時に生きていたことが証明されたんですね。
参考文献
138億年宇宙の旅 早川書房
*1:
思考実験とは?
昔からずっと、哲学者は――いまでは理論物理学者も――頭の中にこの世界のありようを描き出そうとしてきた。
この世界には、自然の法則がある。
その存在は誰の目にも明らかだが、その言語はずっと長いこと隠されたままだった。
そんな法則を解き明かすため、彼らは物理的にも実験的にも無理な状況に自らを置いてみた。
そうしたやり方を「思考実験」という。純粋に思考だけで行う実験だ。
シュレーディンガーはそうしたプロセスを使って、量子のルールが巨視的な、日常的なできごとと結びついたとき、いかに奇妙に見えるかを示して見せた。
その結果が、死んでいるのでも生きているのでもない、「死にながら生きている猫」だ。
なんと奇妙なことかと思うが、すでにそれは正しいことだと証明されている。
のどをいたわる💚
咳払いはダメ。
水を飲む、つばをのみ込む、が正解。
TBSラジオ「ジェーン・スー生活は踊る」によると、のどの調子がよくなくて咳ばらいをしたくなっても、のどに負担をかけてしまうことになるので、やってはダメ。
そういうときは、つばを飲み込んだり、水を飲むのがいいそうです。
朝起きて「声の出がよくないな」と感じる時は、「フ~ン、フ~ン」とハミング(鼻歌)をするのがいいそう。それも、できれば低音で。
朝起きてくちびるが乾いているときってありませんかそういうときは、のどの声帯も同じように乾いているんだそうです。
そういうときも、のどを水分で潤(うるお)してハミングするのがいいそうですよ。乾燥の季節ですね。くれぐれもご自愛ください。
情報元
ジェーン・スー生活は踊る