ブレヒト作「ロミオとジュリエット」
ブレヒトは、ドイツが生んだ偉大な劇作家です。
俳優のための練習用台本[第三夜より]
「ロミオとジュリエット」ブレヒト作
ジュリエットとその侍女
ジュリエット
じゃお前、トゥリオを愛しているのね。もしその人の生命があぶなくなったら・・・
侍女
ああ、戦争がおきたらですね?
そしたらあの人を説きふせて、病気のふりをさせて、ベッドからおきないようにしますわ。
ジュリエット
でも、そんなこと卑怯(ひきょう)じゃない?
侍女
なんとしてでも、あの人が卑怯になってくれるようにしますわ、あたしがそばに寝てやれば、あの人ベッドからはなれませんもの。
ジュリエット
ともかくお前、その人に命をささげる気なんだわね。あたしだってロミオ様のためならそうするわ。
でも、もうひとつだけ、ききたいことがあるの。
もしその人がね、戦争に行って帰ってきたとき、なにかがなくなっていたら?
侍女
なにがですの?
ジュリエット
それは口ではいえないわ。
侍女
ああ、あれですの。そしたら、あいつの目の玉をひんむいてやりますわ。
ジュリエット
なぜ?
侍女
戦争になんか行ったからですよ。
ジュリエット
じゃ、それっきしお前たちの仲はおしまいになってしまうの。
侍女
ええ、だってもうおしまいじゃございませんか?
戦争に行ったからおしまいなのか、なにかがなくなったからおしまいなのか、ブレヒトらしい戦争反対の表現ですね。
こういう紹介の仕方は、誤解を招きます・・・。
ブレヒトはナチスのヒトラーに反対して、戦争に反対した偉大な劇作家です。尊敬してます。
これは部分抜粋です。意味は変えていませんが、実際のブレヒト作「ロミオとジュリエット」は、もっとたくさんの意味が絡んできて、もう少し複雑ですよ。
ブレヒト作「ロミオとジュリエット」「ハムレット」全文掲載。無料です。
http://www1.odn.ne.jp/seiyukenkyujo/b.h.r.a.j.htm
こぼれ話
ブレヒト作「ロミオとジュリエット」は、シェイクスピアの同名戯曲をもとに、俳優練習用として改作した台本です。
実はシェイクスピアの「ロミオとジュリエット」にも元ネタがあり、アーサー・ブルックの物語詩『ロミウスとジュリエットの悲しい物語』(1562年、イギリス)ではないかと言われています。
シェイクスピアの生きていた時代は、他人の作品をヒントに自分の作品を創作するのは、よくあることだったそうです。
ロミオとジュリエットの源泉も、西欧の民間伝承やギリシアの古典、古代ローマにまでさかのぼることができるんだそうですよ。
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