ゆきおんなレッスン中のウラ話
「ゆきおんな」クライマックス部分の朗読です。
実はこれ、声優プロダクション「アクセント」ナレーションコンテスト応募作品として作成していたものなんですが・・・
なんとナレコン終了
どうしようか、それならYoutube動画にアップしよう、と生徒と話し合って公開を決めた次第であります。
レッスン中のウラ話・・・
怪談として怖く語るのではなく、お雪のせつない恋心を表現しよう。
「お前の顔を見ていると昔のことを思い出す・・・」と、夫が語り出したときも、まさか約束を破られるなんてお雪は夢にも思ってなくて
「もお・・・初めてのあの夜のことを言いだすのかな」くらいに勘ちがいしてて、
気づかないフリ♥貞淑な妻は必死におすまし♥
だけど、その気持を出しすぎちゃうとギャグになっちゃうから、わざと気がつかないフリをお雪はしていて
だってそのセリフで「約束を破るかも」と、ピンときたら、お雪は心のどこかで「夫を信じ切れていなかった」ただ、スパイのように監視していただけだった「そんな愛のない生活、楽しい?」という解釈にもなりはしないか
もしくは、愛する夫と可愛い子供たちとの夢のような楽しい生活が、いつの日か、夫のたった一言の言葉によりすべてが崩壊するのではないか・・・とお雪は日々おびえながら暮しているのか…そんな生活もイヤだよね。
ということで
1.お雪は将来の夫となる人に一目惚れをしたから命を助けた
2.心の底から愛しているから妻になった
3.夫を疑う気持なんてこれっぽっちもなかった
・・・だけど、ラブコメではなく演じよう、とレッスンしました。
無理難題・・・
がんばって演じてくれた生徒に感謝です❤小泉八雲の「怪談」(岩波書店)に収録されている「雪おんな」とは違うバージョンの昔話です。民話って少しずつカタチを変えて日本各地に伝わっているんですね。よろしければぜひ、お聴きください。*1*2
朗読参考
ゆきおんな 日本名作おはなし絵本 小学館
*1:
自然への恐れと、子どもへの思いが込められた話
児童文学作家 千葉幹夫
雪女の話は小泉八雲の『怪談』に載っている話が有名で、これは東京都青梅市の話を元にしていますが、じつは沖縄県を除く全国で語られているのです。
雪女にはいろいろな呼び名があります。
雪おなご(青森県)、雪女郎(山形県、新潟県)、雪降りばば(長野県)、雪んば・雪おんば(愛媛県)、雪ばしょ(鹿児島県)などで、若い女性だとも老婆だともいいます。
多くは雪とともにやってくるといいますが、岩手県遠野市では冬の満月の夜にたくさんの子どもを連れてやってくると伝え、そのときは外に出てはいけないと戒めています。
雪女の話は、多くは雪害に苦しむ地方の人々の恐れを伝えています。
秋田県では雪で行き倒れになった人の霊魂だといい、もし出会ったなら顔を見るなとも語ります。
新潟県には雪山で迷子になり、雪女の家に泊めてもらうが、結局命を取られる話があります。
この本で興味深いのは、最後に雪女が子どもを抱いて出るところです。これは「子どもを抱いてくれ。」と言って出現する産女(うぶめ)との関連を思い出させます。
産女の子は抱くとしだいに重くなりますが、最後まで抱ききると怪力を授けるといいます。
産女と神の関連をうかがわせるものですが、思えば雪女も子どもたちを残して去ります。
自然への恐れとともに、子どもは神からの授かりもの、底流に人々のそんな思いがあるような気もします。
日本名作お話絵本 ゆきおんな 小学館 あとがきより
*2:
小泉八雲の「雪女」
小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が『怪談(Kwaidan)』の中で雪女伝説を紹介している。
この話は武蔵の国、西多摩郡調布村の百姓が私に語ってくれたものである。
原典
小泉八雲の描く「雪女」の原伝説については、東京・大久保の家に奉公していた東京府西多摩郡調布村(現在の青梅市南部多摩川沿い。調布市は元・神奈川県域の多摩郡で無関係)出身の親子(お花と宗八とされる)から聞いた話がもとになっていることがわかっている(英語版の序文に明記)[8]。
この地域で酷似した伝説の記録が発見されていることから、この説は信憑性が高いと考えられ、2002年には、秋川街道が多摩川をまたぐ青梅市上長渕の「調布橋」のたもとに「雪おんな縁の地」の碑が立てられた。
表側には碑文が刻まれ、裏側には「雪女」の和英両方の序文と小泉の肖像が刻まれた銘板が嵌め込まれている。
江戸時代の日本は現在よりも気温が低く、現在の東京都多摩地域に相当する地域は冬に大雪が降ることも珍しくなかった点から、気象学的にも矛盾しない。