「橋のない川」と「破戒」
『荻上チキ・Session』で〝部落差別〟について特集してましたので紹介させていただきます。
リスナーさんからのメール
私は中学生のときに同和教育の時間に、初めて〝部落差別〟ということを知りました。
そのときに『なぜ、このような教育があるんだろう。知らないままなら、そのような差別も知らないのだから、埋れてしまうことではないのかな』と思いました。
知らなければフェードアウトするものではないのですか。なぜ、このような差別があることを知る必要があるんでしょうか。
荻上チキ
川口さん、このメールは〝寝た子を起こさない方がいいのではないか〟というご意見だと思うのですが、こちらについてはいかがですか。
川口泰司さん(一社)山口県人権啓発センター 事務局長
はい。同和問題を考えるときに、必ず誰もが素朴に思うのが、この疑問なんですね。
『何も知らない子は差別しないから、教えなかったらいい』と云われるんですけども、
そうではないんですね。
いつか知ります。日本に住んでて部落差別というものの存在を、まぁ意識調査を見ても、ほとんどの方がある一定の年齢にきたときには、知ります。
その中身が、ポジティブなものなのか、ネガティブなものなのかというと、多くはネガティブなものの方が多いんですね。
——マイナス情報。
かつてはそれが、親や職場の先輩から聞くような情報が、今はネットになってしまってると。
あのう実は、今回の裁判の判決が出ました月曜日に、次の日、各紙大手の新聞社が、かなり部落問題の記事をあげて、Yahoo!ニュースに載りました。
そのコメント欄が、まあかなりが、もうそのう、
「もう部落差別はない。なのに同和利権のためにワアワアさわぐ奴がいるだけなんだ」とか
「こういうのを取りあげるから、かえって部落差別が残るんだ」と
なかには、「こんな現実がある」と当事者が声をあげても、「ない」というふうに、もう差別を無効化して叩きまくるんですね。
何も知らないからフェイクを読み解けない
そこをやっぱり、何も知らない人は、
「そうか、差別はもうないのに自分たちがいい思いをするためにワアワア騒ぐ奴の問題なんだ」といってね
そういう情報に偏見を吞み込んでいってしまってると
「何も知らなかったら差別しない」
じゃなくて
「何も知らないからフェイクを読み解けない」
「誤った意識に吞み込まれていってしまう」
寝た子は、僕は、ネットで起こされる時代になったと思ってるんですね。
「無知、無理解な人ほどあぶないんだ」って時代になってますので、正しく学ぶ必要があるかなと思ってます。
「部落問題について学校等で歴史で、こういうことがあったと、サラっと教えるけど、昔のように詳しくは教えなくなっているので・・・」
学校で教えてくれないなら、本から学んじゃえ
わたしは
「橋のない川」新潮社
「破戒」ネットの図書館〝青空文庫〟で無料で読めます。
この2冊をおすすめします。どちらも〝差別問題〟を扱った、歴史に残る「名作」です。
差別などのない、平和な世の中がおとずれるといいですね。それでは、また。
情報元
荻上チキ・Session