相手の目を3秒見つめられる?
相手の目を見られないのは、「心」の問題ではなく「脳」の問題なのだ。
【目次】
大切なのは自分の脳の特徴や状態を知ること。
そして可能なら他者にそれを語り、あるいは医師との相談の結果から、自分の状態を再認識することです。それが自分の脳に良い影響を与えます。
これがいわゆるフィードバック。
まず、自分の状態を語り、医師の話から自分の状態を再認識することで、病状は改善するのです。
近年、ジムで肉体改造をすることが流行しています。
このようなジムでは、専属トレーナーとマンツーマンでトレーニングをするでしょう。その際、日々の食生活やトレーニング内容をトレーナーに報告します。
このように報告することによってフィードバック効果が表れ、大きな成果が得られるわけです。
占いや人生相談も同様です。
自分の状態を説明して相談すると、人は迷いが吹っ切れて、強くなれるものです。
いわゆるセラピーも自分を知ることに当たり、これも自己認識力を高めるために役立つものです。
このように、人は自分を知るだけで、悩みから遠ざかることができるのです。
人は意外と自分自身のことが分かっていないものです。だからこそ、周りからの評価で自分を評価してしまうのでしょう。
ただ。その評価が正しいものなら良いのですが、そうでなかったら間違ったフィードバックがかかり、本当の自分を見失ってしまいます。
意識して正しいフィードバックを行っていかなければなりません。
しかし現代人は、他者からの評価に依存している人ばかりで、なかなか自己に対する感情を育てることができません。
子どものころに絵を描いたら、親や先生から「上手だね」と褒められる。
社会人になって良い仕事をしたら、上司から「よくやった」と評価される。
学生時代に学業やスポーツで優秀な成績を収め、周りから「凄いぞ」とおだてられる。
これらはすべて、他者からの評価です。
一方、客観的に自分を見て、自分で自分を評価している人は少ない。
結果、他者の観点からしか自分を評価できない人ばかりになります。
まず自分のことを知り、自分を変えることから始めるべきでしょう。
ドイツの哲学者、フリードリヒ・ニーチェは、「脱皮できない蛇(へび)は滅びる」という言葉を残しています。
自分を知り、状況に応じて自分が変わるのです。
では、どう変われば良いかといえば、脳を変える——これが人生を前向きに生きる秘訣なのです。
相手の目を見つめられないのは、恥ずかしい・照れる、などの心理学ではなく、脳科学が関係している。
目からウロコの言葉でいっぱいでした。文句なしにおすすめします。
そして役者にとって重要なのは、ここから!
演技で、感情認識障害を改善!
感情認識障害を改善させるために効果的な方法としては、目で見て人の真似(まね)をすることが挙げられます。
憧(あこが)れている人や尊敬している人の真似をするという行為を通じて、自分に足りないものを発見していくのです。
まず、憧れの人物からキャラクターを借りて演じてみるのはどうでしょうか?
本物の役者は、架空のキャラクターや歴史上の人物を演じるのですが、役者になってみて初めて、自己感情認識障害が解消されたという人もいます。
2018年に亡くなった俳優の津川雅彦(つがわまさひこ)さんと、生前、お会いしたことがあります。その津川さんのお話では、台本を読むと、自分が演じる役の動きが見えるのだそうです。
実際、役者の脳を見ると、理解系と運動系の脳番地が発達しています。
台本を読んで左脳で理解し、すぐに運動系脳番地に結びつけて動く。そしてセリフや立ち回りを記憶していくというシステムが、脳内に完成しているのです。
やはり演じることは、脳を刺激します。
試しに誰かを演じて脳に刺激を与え、自己を認識する力を鍛えてみてください。
実は脳には、「一度使った回路を何度も使いたがる」という傾向があります。
行動の善し悪しを問わず、一度味をしめたら、その回路を使いたがるのです。
薬物やゲームで快感や喜びを味わうと、こうした感情を司る回路を再び使いたくなり、どんどん依存症になっていきますが、これも同じ理屈です。
こうして新たな回路を作り、その回路を使うことは、初めはストレスとして感じられることでしょう。
ただ使えば使うほど、その回路は強化され、やがて快感を覚えるようになるのです。
また、キャラクターが身に着けているものや仕草にも興味を持てば、より強く刺激を受けます。積極的に、自分の好きなキャラクターをコピーしてみてください。
引用
大人の発達障害 白秋社