ワークショップ 声優演技研究所 diary

「なんで演技のレッスンをしてるんですか?」 見学者からの質問です。 かわいい声を練習するのが声優のワークショップと思っていたのかな。実技も知識もどっちも大切!いろんなことを知って演技に役立てましょう。話のネタ・雑学にも。💛

「お熱いのがお好き」ウラ話

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マリリンの「お熱いのがお好き」は観始めると笑いが止まらない作品である。

だが撮影現場は重苦しい雰囲気だった。

撮影初日からマリリンは遅刻し続けた。それだけではない。監督のワイルダーがオーケーと言っているのに、マリリンは何度も撮り直しを求めた。

ワンカットのために十回も十五回も撮るのは当たり前となった。

なかには五十九回も撮り直したシーンもあった。共演者たちはそのたびに同じことを繰り返さなければならない。

さらに演技が終わるたびに、うまくできなかったと言って泣くために、メイクも直さなければならず、スタッフと俳優の全員が待たされる。

全員がマリリンにうんざりするようになっていった。

だが、ワイルダーはマリリンがやり直せばやり直すほど、その演技がよくなっていくことに気づいていた。

現場は嚙み合わなかった。

撮影が進むにつれてマリリンの睡眠薬の量は多くなっていった。

この映画は公開されると大ヒットした。

批評家たちのあいだでの評判もよく、マリリンは改めて喜劇女優としての才能を認められた。

しかし、試写会で爆笑する観客を見て、マリリンは自分が嘲笑されているのではないかと思い、傷ついていた。

笑われることを嫌がるようでは、喜劇役者は向かない。

マリリンの回路は少しずつ誤作動するようになっていく。

マリリンの「お熱いのがお好き」は、マスコミでの批評はよく、千五百万ドルの興行収入を上げた。

引用
大女優物語 新潮社