アインシュタインの相対性理論は、日常生活で必要か。
地図アプリ
スマホの地図ナビやカーナビは、アインシュタインの相対性理論がなければ実現不可能です。
アインシュタインの特殊相対性理論が発表されてから66年後の1971年…。
2人のアメリカ人科学者、ジョゼフ・ヘイフリーとリチャード・キーティングが、アインシュタインの予測した「時間の遅れ」を実証しました。
ヘイフリーとキーティングは3つの原子時計を使いました。
原子時計は、史上最も優秀な時計器です。
ひとたび複数の原子時計の時刻を合わせると、何百万年も経過しても1秒の10億分の1までのずれしか生じないという、とても信頼性の高い時計なんです。
2人はそれを空港にもっていきました。
時計の1つは空港のロビーに残し、そしてあとの2つは、それぞれ別の民間航空機に乗せられました。
時計の一方は東回りで、もう一方は西回りで地球を一周し、最後には出発点の空港に戻ってきて、時刻を合わせられた地上の分身と再会することになっています。
アインシュタインが正しければ、地球は東回りに自転しているため、飛行機が東回りか西回りかで、各飛行機とのあいだにも空港とのあいだにも、時計の時間にわずかな違いが出るはずです。
二つの飛行機が空港に戻ってきたところで、ヘイフリーとキーティングが3つの原子時計を確認すると、同じ時刻ではなくなっていました。
空港に残った時計と比較して、東回りの飛行機に乗った時計は、10億分の59秒、遅れていました。
西回りの飛行機に乗っていた時計は、10億分の273秒、進んでいたんです。
3つの原子時計がずっと同じところにあったとしたら、そのようなずれが自然に起こるには、3億年以上も待たなくてはなりません。
そして驚くべきことに、この結果は実験よりも前に、計算されていたんです。
アインシュタインの理論では、地上の時計と比較して東回りの時計は最大10億分の60秒まで遅れ【実験の結果は10億分の59秒】西回りの時計は10億分の275秒ほど進む【実験結果は10億分の273秒】と予言されていました。
つまり実験で、アインシュタインは正しかったことが証明されたんですね。
相対性理論がなければ、GPS装置は機能しない?
そしてこの理論は現在、スマホやカーナビのGPS装置に使われています。
あなたのGPS装置と位置情報をやりとりする人工衛星の内部には、時計があります。
もしも地上と衛星での時間の進み方の違いを考慮に入れた修正がなされなかったら、あなたの位置はたちまち間違って把握されることになります。
そして1日ごとに、約10キロメートルのずれが生じていくのです。*1
GPSが機能するのは、アインシュタインの特殊相対性理論と一般相対性理論のおかげだったんですね。*2
参考文献
138億年宇宙の旅 早川書房
*1:
宇宙論・一般相対性理論を研究する二間瀬(ふたませ)敏史・京都産業大学理学部教授(67)に「タイムマシン研究の現在」を解説してもらった。
実は、相対性理論は現実に利用されています。
GPS衛星は、高度約2万キロの上空を秒速約4キロのスピードで飛んでいて、地上よりも1日あたり100万分の7秒ゆっくり時間が流れます。
一方、この高度は地上より重力が小さいので、地上よりも1日あたり100万分の45秒早く時間が流れます。
差し引きすると、1日100万分の38秒早く時間が流れるので、補正するために衛星に積んだ時計は、1日あたり100万分の38秒遅れるように調整してあります。
補正しないと1日に1キロ以上も位置がずれてしまうのです。
朝日新聞デジタル>連載>ひみつ道具の現在地>
第4回
「タイムマシン、空想じゃない 時空の謎に迫る研究者」より
「138億年宇宙の旅」早川書房 では、1日ごとに、約10キロメートルのずれが生じていくとなっていました。いろんな意見があるんですね。
*2:
「思考実験」
アインシュタインは大いに思考実験を利用した。
彼の場合は、光速が速さの限界として決まっているとしたら、現実はどのように見えるかを想像した。
そのために、彼は光子の上に座ってみた。
そこから頭の中で世界を見て、特殊相対性理論を考えついた。
この理論の有名な教えは、光速の99・999999999パーセントで【8時間】飛ぶ飛行機は、本当に400年後の未来に到着するということである。
これは正しいことが証明されている。
さらにアインシュタインは、重力が何であるかについても考えた。
その彼の答えが、100年たった現在でも、とてつもなく衝撃的な数々の発見を導いている。