日常の観察、どうすれば?
驚きから新しい考え方が生まれる
ひとは幼いときから見慣れているものを見ても驚きませんが、見慣れているものがまったく矛盾する動きをしたりすると、大きな驚きを受けます。
そして、このような驚きによって新しい考え方が開けるのだ、とアインシュタインは述べています。
磁石の針が手の力などを受けていないのに動くのは、彼にとってまったく新しい経験でした。この現象の背後には目に見えない何かがあるにちがいない、と彼は思ったのです。
たとえば、「時間」というものはあたり前のものだと思っているのがふつうですが、アインシュタインは時間にはふつうでない姿があることに気がつきました。
そして、これを深く考えていって、ついに時間というものを新しく考え直すことに成功して、「相対性理論」という理論を作り上げたのでした。
また、「光」についても、「重力」についても、ふつうの人が気づかないでいたことに気づき、その驚きを深く掘り下げて考え、ついに新しい理論を作り上げています。
時間や光や重力について、ほかの人がその不思議さにまったく気づかなかったというと、うそになるでしょう。
気づいた人がいたけれども、その不思議さについて考えぬくことができなかった、といったほうがよいでしょう。
アインシュタインはそういう考えぬく力をもつ、まれな天才だったわけです。
アインシュタインは、日常の驚きを〝物理学〟に役立てました。
わたしたち声優をめざす者は、日常の驚きを〝演技力の向上〟に結びつけましょう。
それが日常生活のあらゆる出来事からヒントを得て深掘りし、演技力の向上に結びつける〝日常の観察〟につながりますよ。