あらしのよるに.2
二巻目「あるはれたひに」
おおかみのガブとやぎのメイの友情を描いた絵本「あらしのよるに」シリーズ第二作目「あるはれたひに」のテーマを、原作者の木村祐一さんが語っています。
二つの概念の衝突
ここからは、もうすでに相手のことはわかってしまっている。
今度は、概念についてである。
たとえばボクは、食用ガエルとイナゴが苦手だ。
イナゴを食べる人って、けっこう平気で食べている。
ボクは食べられない。
食用ガエルは、食べたことはあるんだけど、なんとなくイメージが悪くて、その後は食べられない。
でもなぜか、カタツムリは食べられた。
人間というのは多分、たくさんの食材がある中で、これは食べものだと小さいころから概念付けられているものは簡単に食べられるんだけど、食べるものの概念の中に入っていないものはなかなか食べられない。
日本人は普通、犬の肉は食べない。なぜかというと、日本人の脳の中では犬の概念はペットだからだ。
ところが中国へ行くと、犬は食べ物だから、全然問題なくスーパーで売っている。
この間オーストラリアに行ったら、豚をペットにして飼っていた。
地球上の動物は、生まれ育った環境によって、異なる概念で区分されていて、食べられたり、食べられなかったりする。
そういった概念に、我々は、自由なようで実はたくさん縛られているんじゃないだろうか。
「あるはれたひに」のキャッチフレーズは「ごちそうなのに友だちで、仲良しなのにおいしそう」
同じものに対する二つの概念の間で葛藤するのがテーマ。
参考文献
きむら式童話のつくり方 講談社現代新書