韻文と散文
シェイクスピアについて知っている、2~3の事柄
シェイクスピアの戯曲は、韻文と散文が混在しています。
韻文(いんぶん)とは一定のリズム・韻をふんだ「詩」のことです。
散文(さんぶん)とは「小説」形式の文章です。
かんたんな見分け方
韻文の台詞は、ページの上半分しか使われない特徴があります。
が、
散文の台詞は小説と同じですから、ページの上から下まですべて使います。
どちらの台詞も散文で書かれていたが【※1】より、ヴァイオラの台詞のみ韻文に転じる。
新訳 十二夜 角川文庫より
ただし
出版社によって台詞の記載方法が違いますので注意が必要です。
私の知るかぎりでは
白水社・角川文庫・岩波文庫のシェイクスピア全集は、韻文と散文がきちんと分けられています。
一方で、新潮文庫のシェイクスピア作品は、すべてが散文(小説形式)で台詞が掲載されています。逆に、ちくま文庫では、すべての台詞がページの上半分に記載されていますので、韻文と散文を見分けるのは難しいですね。
とは言っても
新潮文庫のシェイクスピア全集の巻末にある福田恆存氏と中村保男氏の解説は、マジすごいです。必読です。
ちくま文庫は、(角川文庫と同じように) ページの下半分に台詞の注釈が載っていますので、すぐに台詞の意味を把握できるメリットがありますね。
また、同じ場面の韻文を読み比べるのもおもしろいですよ。
角川文庫 新訳十二夜より
白水社より角川文庫のほうが、同じ韻文でも、一定のリズム・韻をふんだ「詩」であることが分る翻訳になっていますね。
ですが舞台で演じる場合、「どちらの翻訳のほうが観客に伝わるのか」という問題もありますので、これだけで優劣はつけられないと思います。
こんなウンチクも交えながら、シェイクスピアのレッスンもおこなっています。それでは、また。