ワークショップ 声優演技研究所 diary

「なんで演技のレッスンをしてるんですか?」 見学者からの質問です。 かわいい声を練習するのが声優のワークショップと思っていたのかな。実技も知識もどっちも大切!いろんなことを知って演技に役立てましょう。話のネタ・雑学にも。💛

【✖】パクる方法【◎】オマージュ指南

みずうみ 川端康成

「なに?一週間に二人も男がつけて来るのか。」

宮子は有田老人に手枕させながらうなずいた。

「魔性(ましょう)だねえ。」と有田老人はしばらくしてつぶやいた。

「魔性の女かねえ。そんなにいろんな男がつけて来て、自分がこわくならないの?目に見えない魔ものが、このなかに住んでいる。」

男がつけて来るのは美貌のせいばかりでないことは、宮子自身もわかっていた。有田老人の言うように、魔性を発散しているからかもしれなかった。

「しかし、あぶないねえ。」と老人は言った。
「鬼ごっこという遊びがあるが、男にたびたびつけられるなんて、悪魔ごっこじゃないの?」

「そうかもしれませんわ。」と宮子は神妙に答えて、
「人間のなかに人とちがった魔族というものがいて、別の魔界というようなものがあるのかもしれませんわ。」

「それをあんたは自覚してるの?こわい人だね。怪我(けが)をするよ。尋常の最期(さいご)を遂げないよ。」

「私のきょうだいには、そんなところがあるんでしょうか。女の子のようにおとなしい弟だって、遺書を書いたりするんですもの。」

「どうして・・・。」

 

さあ、創造力を発揮しよう! 

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「どうして・・・」のセリフの後、あなたなりの自由な発想で物語を展開すると、セクシーな魔女が主人公の異世界ファンタジー作品ができあがるかもしれませんよ。  

パクリのヒント

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1.彼女(宮子)をつけてきた男は何者か?「実は宮子を守るために派遣された味方だった」など
2.有田老人は億万長者で宮子をサポートしてくれる。
3.宮子の弟こそが、物語のカギを握る重要人物だった。

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う~ん・・・。ちょっとありきたりすぎるかな・・・。

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ちなみに川端康成「みづうみ」*1は、異世界ファンタジー作品ではありません。よいこの皆さんは読まない方がいいと思いますので、わたしはおすすめいたしません。 

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それでは、また。

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www1.odn.ne.jp

 

さらなるヒントを追加

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じゃ・・・じゃあ、もう一人キャラを増やしてみようか。弟の啓助が宮子に、清純な少女、町枝のことを話す場面じゃ。

 

清純な少女

 「あんな清らかな少女はいないね。」と啓助は町枝のことを話していた。

「だけど、啓ちゃん、女のほんとうの清らかさなんて、あんたにわかるの?ちょっと見ただけで、わかりゃしないでしょう。」

「わかるさ。」

「どんなのが女の清らかさか、言ってみて。」

「そんなこと言えやしないじゃないか。」

「啓ちゃんがそう見るから、そうなんでしょう。」

「姉さんだって、あの人を見ればわかるよ。」

「女は意地が悪いわよ。啓ちゃんのようにあまくないから・・・。」

<中略>

宮子はなんとなく町枝の手を取った。

町枝の手に触れたとたんに、宮子はあっと声を立てそうだった。

女同士だけれども、なんというこころよさだろう。なめらかにうるおった手の肌ざわりだけでなく、少女の美しさが宮子の胸にしみとおって来て、

「町枝さん、おしあわせそうね。」と言うほかはなかった。

町枝はかぶりを振った。

「あら、どうして?」と宮子はおどろいたように町枝の顔をのぞきこんだ。町枝の目はかがり火にきらきらしていた。

「あなたにも、ふしあわせなことがあるの?」

町枝はだまっていた。

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「みずうみ」って、ストーカーが主人公なんだよ。変態小説ですぅ。

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わしの話きいてるf:id:seiyukenkyujo:20190816181454g:plain

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しかしこういう文章の抜粋をすると、宮子は超能力を持った魔族としか思えんな。

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「みずうみ」の登場人物、宮子はあくまでもふつうの人間です。超能力は持ってません。しかも宮子は主人公ではなく、脇役です。

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しかし主人公ではない人物の視点から物語をながめることで、オリジナルの小説とはまったく違う、あなただけの作品が創造できるかもしれませんよ。

 

*1:

小説が発表された当初のタイトルは「みづうみ」でした。

現在は「みづうみ」と「みずうみ」の両方が出版されています。

旧仮名遣い、新仮名遣いの違いだけで、内容は同じです。